外リンパ瘻|ぶっちゃけ外リンパ瘻とは

外リンパ瘻(がいリンパろう / Perilymphatic Fistula: PLF)とは、耳の奥にある内耳(外リンパ腔)と中耳(またはその周囲)との間に異常な穴(瘻孔:ろうこう)が生じ、内耳を満たしている「外リンパ液」が中耳へ漏れ出したり、圧力の変動が生じたりする病態です。

1. 病態メカニズム(なぜ問題が起きるのか)

  • 内耳の構造: 内耳は骨に囲まれた空間(骨迷路)にリンパ液が満たされており、音を感じ取る「蝸牛(かぎゅう)」と、体のバランスを感じ取る「前庭(ぜんてい)・半規管」という感覚器が存在します。
  • 圧力の崩れと刺激: 外リンパ瘻が生じると、主に前庭窓(卵円窓)や蝸牛窓(正円窓)、あるいは微小な骨の裂隙(microfissure)などを通じて外リンパ液が中耳側へ漏れ出します。これにより内耳の中の圧力バランスが乱れ、膜迷路が虚脱したり圧が変動したりすることで、聴覚や平衡覚の感覚細胞が過剰に刺激されて症状が引き起こされます。

2. 主な症状

症状は人によって様々で、耳の症状(蝸牛症状)と、めまいの症状(前庭症状)が組み合わさって出現します。

聴覚症状(耳の症状)

  • 難聴: 突然聞こえなくなる「突発性」、数日〜数か月かけて悪化する「進行性」、良くなったり悪くなったりを繰り返す「変動性・反復性」など経過は多様です。
  • 耳閉感・耳鳴り: 耳が詰まった感じや耳鳴りを伴います。発症時に「パチッ」「プチッ」という破裂音(ポップ音)を感じたり、「水の流れるような耳鳴り(流水音耳鳴)」を自覚したりすることがあります。

前庭症状(めまい・平衡障害)

  • ふらつき・浮動性めまい: 長時間続くゆらゆら・フラフラとした動揺感が主体となることが多いです。
  • 回転性めまい: 急性期や重症例では、悪心・嘔吐を伴う激しい回転性めまいを生じることがあります。
  • 体位による変化: 立位や歩行、体動で悪化し、横になって安静にすると改善する傾向があります。

瘻孔症状(ろうこうしょうじょう)

  • 鼻をかむ、耳に指を入れる、息を止めて力むなど、耳や頭蓋内に圧力変化が加わるとめまいや眼振(目の揺れ)が誘発されます。

3. 発症原因と4つのカテゴリー

発症の原因や誘因によって、以下の4つに分類されます。

カテゴリー1(外傷・疾患・手術など): 耳かきや綿棒の刺入事故(直達外傷)、頭部外傷、真珠腫性中耳炎、耳科手術後など。

カテゴリー2(外因性の圧外傷): スキューバダイビング、飛行機搭乗、爆風など外部の気圧変化によるもの。

カテゴリー3(内因性の圧外傷): 強く鼻をかむ、くしゃみ、力み、重いものの持ち上げ、吹奏楽器の演奏など日常動作で体圧が上がったときのもの。

カテゴリー4(特発性 / idiopathic): 明らかな原因や誘因がないもの(突発性難聴やメニエール病として初期診断されている症例の中に含まれていることがあります)。

    4. 診断と治

    診断

    従来は手術で直接観察して確かめていましたが、現在は中耳洗浄液から外リンパ特異的蛋白である「Cochlin-tomoprotein(CTP)」を検出する生化学的検査(保険収載)によって、外来で客観的な確定診断が行えるようになっています。

    治療

    • 保存的治療: 発症早期(1か月以内)であれば、ベッド上安静(頭部を少し高くした体位)や薬物療法(ステロイドなど)で自然閉鎖を目指します。
    • 手術的治療: 保存的治療で改善しない場合や症状が悪化する場合は、手術(内耳窓閉鎖術)によって筋膜などを用いて穴を塞ぐ処置を行います。

    この記事を書いた人

    院長 / 吉池 弘明

    頭の中は、つねに愛する家族と鍼治療のことでいっぱい。耳鼻科疾患治療への探究心が強く、日々新たな治療法を模索する「はり・きゅうの日生まれ」62歳。お医者様とは違った角度からの聴力検査と全身検査を取り入れ、のべ25万人を検査。全国から来院する患者さんへの治療成果を上げている。

    院長 / 吉池 弘明

    この記事を書いた人

    院長 / 吉池 弘明

    頭の中は、つねに愛する家族と鍼治療のことでいっぱい。耳鼻科疾患治療への探究心が強く、日々新たな治療法を模索する「はり・きゅうの日生まれ」62歳。お医者様とは違った角度からの聴力検査と全身検査を取り入れ、のべ25万人を検査。全国から来院する患者さんへの治療成果を上げている。

    院長 / 吉池 弘明