急性低音障害型感音難聴|治らないことはあるか?

急性低音障害型感音難聴(ALHL)は、初発時には約60〜80%(およそ7割)が治癒・改善する比較的予後が良い疾患とされています。しかし、約20〜30%の患者で発症や悪化を繰り返し、一部はメニエール病へ移行したり、お薬で治療を行っても症状がすっきり治らなかったりするケースがあります。

お薬で、急性低音障害型感音難聴が「治らない」「改善しにくい」「慢性化・再発を繰り返す」背景には、主に以下のような原因や要因が挙げられます。

1. ストレス・睡眠不足・過労が解消されていない(最も大きな要因)

ALHLの発症や再発には、精神的ストレス(約52%)、睡眠不足(約43%)、肉体的疲労(約41%)が深く関わっています。

  • 治療薬を服用していても、発症の引き金となったストレス環境や疲労・睡眠障害が改善されていないと、自律神経の乱れや交感神経の過緊張による内耳の血流低下・内リンパ水腫が持続し、再発や難治化を招きます。
  • 「自分にはストレスがない」と思っている患者ほど、自覚のないままストレスを溜め込んでいて危険な状態にあることが指摘されています。

2. 病態(内リンパ水腫・血流障害)の慢性化とメニエール病への移行

  • 内リンパ水腫(内耳の水ぶくれ)の持続: 浮腫(水ぶくれ)や蝸牛頂の微小循環不全(血流低下)が長引くと、内耳の有毛細胞や血管床に不可逆的な障害が定着し、回復しにくくなります。
  • メニエール病への移行: ALHLの反復例や長期経過例の一部(長期経過で約20〜30%)は、「メニエール病非定型例(蝸牛型)」や「メニエール病確実例(めまいを伴うタイプ)」へ進行・移行し、慢性的な難聴や症状の変動をきたすようになります。

3. 反復・再発による内耳機能の悪化

ALHLは症状の悪化や再発を繰り返せば繰り返すほど聴力予後が悪くなるという特徴があります。初発時に完全に治しきれなかったり再発を繰り返したりすることで、内耳のダメージが蓄積して治りにくくなります。

4. 受診・治療開始の遅れや初診時の重症度

治療成績や予後を左右する因子として、以下の点が挙げられます。

  • 治療開始までの期間: 発症から受診までの期間が長い(治療開始が遅れる)と治癒率が低下します。
  • 初診時の障害程度: 初診時の聴力障害が高度である場合や、1,000Hzなどの周波数まで閾値上昇が及んでいる場合は予後が不良になりやすいです。
  • 年齢: 40代〜50代以上の高齢発症例では、若年者に比べて回復しにくい傾向があります。

5. 鑑別診断の問題(他の疾患が隠れている)

「急性低音障害型感音難聴」と診断されていても、実際には標準的なALHL治療では治らない別の病態が隠れている場合があります。

  • 耳管開放症の混在: 低音障害型感音難聴に「耳管開放症」が併存・潜在している場合、ステロイドの投与で、かえって病状が悪化・難治化することがあります。
  • 聴神経腫瘍(小脳橋角部腫瘍): 初期段階ではALHLやメニエール病とまったく同じような低音障害や変動性難聴を示すことがあり、頭部MRIなどの画像検査を行わないと見逃され、通常の薬では治りません。
  • ステロイド依存性感音難聴や自己免疫性内耳病、外リンパ瘻: ステロイドの減量や中止によって悪化を繰り返すタイプや、自己免疫異常、外リンパ瘻などが含まれている場合、短期間の通常治療では治癒しません。
  • 更年期障害・女性ホルモンや自律神経の影響: 20〜30代の若年女性や更年期女性に多く、自律神経や更年期障害のコントロールが行われないと再発を繰り返しやすいです。

6. 脳(聴覚中枢)の認知のアンバランス(耳閉感の持続)

内耳の難聴自体はすでに改善しているにもかかわらず、脳の大脳聴覚野における音の感受性調整が内耳の回復に追いつかず、アンバランスを起こすことで「耳が詰まった感じ(耳閉感)」の知覚だけが違和感として残ってしまう現象(聴覚異常感症)も知られています。

7. 治らない場合はどうするか?

治りにくい場合や再発を繰り返す場合は、心身の安静や有酸素運動・睡眠管理といった生活習慣の改善を取り入れることを検討することが推奨されています。

特に鍼治療が効果的です。お医者さんは診断のために検査をすることが多いのですが、私たちは40年前から治療のために耳鼻科的な検査を行ってきました。

難治性の急性低音障害型感音難聴に、鍼治療がとても効果があることを発見しました。イソソルビド(イソバイド)を2週間飲んでも思うように効果が上がらなかったら、鍼治療をご検討ください。

この記事を書いた人

耳鼻咽喉科疾患 認定鍼灸師 / 宮原 魁都

プロサッカー選手への夢は膝の大怪我で絶たれたが、鍼が持つ「再生と癒しの力」に魅了され、鍼灸の道に進む。運動器疾患の治療を得意としているが、ずば抜けた根性と精神力で院長からの難題を次々クリアし、現在は耳鼻科疾患の鍼治療でも成果を上げている。

耳鼻咽喉科疾患 認定鍼灸師 / 宮原 魁都

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耳鼻咽喉科疾患 認定鍼灸師 / 宮原 魁都

プロサッカー選手への夢は膝の大怪我で絶たれたが、鍼が持つ「再生と癒しの力」に魅了され、鍼灸の道に進む。運動器疾患の治療を得意としているが、ずば抜けた根性と精神力で院長からの難題を次々クリアし、現在は耳鼻科疾患の鍼治療でも成果を上げている。

耳鼻咽喉科疾患 認定鍼灸師 / 宮原 魁都