味覚障害の治し方【鍼灸師が解説】亜鉛不足以外の原因と改善のツボ

「毎日の食事が、美味しくない…」 「何を食べても、砂を噛んでいるようだ」 「口の中に、いつも不快な味が残っている」

食事から得られる喜びが失われてしまう「味覚障害」。それは、心身ともに本当につらい症状ですよね。病院に行ったけれど原因がはっきりしなかったり、治療を続けていても思うように改善しなかったりして、先の見えない不安を感じていませんか?

こんにちは。私は国家資格を持つ鍼灸師として、長年、味覚の悩みを持つ多くの患者さんと向き合ってきました。

この記事では、西洋医学的な視点に加え、鍼灸師ならではの**「東洋医学の視点」**から、あなたの味覚障害の根本原因と、体質から改善していくための具体的な方法を、どこよりも詳しく解説します。

**【重要】**まずお伝えしたいのは、味覚障害の裏には重大な病気が隠れている可能性もあるため、最初に必ず耳鼻咽喉科などの医療機関を受診し、診断を受けることが大前提です。

その上で、この記事が、あなたの「食の楽しみ」を取り戻すための、新しい希望の光となれば幸いです。

第1章:これって味覚障害?症状と簡単セルフチェック

  • 味覚減退:味が薄く感じる。
  • 味覚消失:味が全くしない。
  • 異味症:本来とは違う不快な味に感じる。
  • 自発性異常味覚:口に何もないのに、常に特定の味を感じる。

【簡単セルフチェック】 □ 食事が美味しいと感じなくなった □ 最近、味付けが濃くなった □ 甘味、塩味、酸味、苦味の区別がつきにくい □ 何も食べていないのに口の中が苦い、金属の味がする □ 食べ物の風味が以前と違う

第2章:味覚障害の一般的な原因(西洋医学の視点)

東洋医学の話に入る前に、まずは現代医学で考えられている主な原因を理解しておくことが重要です。

  1. 栄養素の不足(特に亜鉛):味を感じる細胞「味蕾」の維持に亜鉛は不可欠です。
  2. 薬剤性:服用中の薬の副作用。
  3. 全身疾患:糖尿病、腎臓病、肝臓病など。
  4. 感染症:風邪や新型コロナウイルス感染症の後遺症など。
  5. 口腔内の問題:舌苔の付着、ドライマウス(口腔乾燥症)など。

第3章:【鍼灸師の視点】東洋医学で考える味覚障害の本当の原因

東洋医学では、味覚障害を「体全体のバランスの乱れ」のサインと捉えます。特に重要視するのが**「脾(ひ)」「心(しん)」**です。

  • 脾の不調(消化器系の機能低下):「脾は口に開竅(かいきょう)し、その華は唇にある」という言葉があり、消化器系の働きが弱ると、口や味覚に直接影響が出ると考えます。胃腸の疲れ、食欲不振などがサインです。
  • 心の不調(精神・循環器系の乱れ):「心は舌に開竅する」と言われ、強いストレスや不眠、精神的な疲労は「心」の働きを乱し、舌の感覚、つまり味覚に異常をきたす原因となります。
  • 気血(きけつ)の滞り:全身を巡るエネルギー(気)と栄養(血)の流れが滞ると、舌に十分な栄養が届かず、味蕾が正常に働かなくなります。

第4章:何科を受診すればいい?まず行うべきこと

繰り返しになりますが、これが最も重要です。まずは「耳鼻咽喉科」を受診してください。鍼灸師として施術を行う上でも、医師による正確な診断は不可欠です。重大な病気を見逃さないためにも、自己判断で鍼灸院に直行するのではなく、必ず病院での検査を先に行ってください。

第5章:病院ではどんな検査・治療をするの?

耳鼻咽喉科では、問診、味覚検査(ろ紙ディスク法など)、血液検査(亜鉛の値など)を行い、原因を特定します。治療としては、亜鉛製剤の処方、原因となっている薬剤の変更検討、基礎疾患の治療などが中心となります。鍼灸治療は、これらの西洋医学的治療と並行して行うことで、相乗効果が期待できます。

第6章:鍼灸師が勧める食事の工夫と「亜鉛」の話

東洋医学では、特定の栄養素を摂るだけでなく、「消化しやすく、体を温める」食事を基本とします。

  • 亜鉛の摂り方:牡蠣や牛肉などの動物性食品は吸収が良いですが、胃腸が弱っている時は、豆腐や納豆、ごまといった植物性のものから優しく摂り入れましょう。
  • だしの活用:昆布やしいたけなどの「旨味」は、東洋医学でいう「脾」の働きを助けます。濃い味付けに頼らず、だしの旨味を活かすことで、味覚への負担を減らし、満足感を得られます。
  • 避けるべきもの:冷たい飲み物、生もの、脂っこいもの、甘いものの摂りすぎは、「脾」を疲れさせ、症状を悪化させる可能性があるので注意しましょう。

第7章:自宅でできる!味覚をサポートするツボとセルフケア

鍼灸師ならではの、自分でできるケアをご紹介します。優しく、気持ちの良い範囲で押してみてください。

  • 合谷(ごうこく):手の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみ。顔や口周りの血流を促進する万能のツボです。
  • 足三里(あしさんり):膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみから指4本分下がったところ。胃腸の働きを整え、「気」を補う代表的なツボです。
  • 舌の運動:口を閉じたまま、舌で歯茎の外側をぐるりとなぞるように、右回り・左回りとゆっくり動かします。舌周りの血流を良くする効果があります。

第9章:味覚障害を防ぐ、東洋医学の「養生」

病気になる前の「未病(みびょう)」の段階で体を整えるのが東洋医学の得意分野です。

  • 腹八分目を心がけ、胃腸を休ませる。
  • 体を冷やさないようにする(特に首、お腹、足首)。
  • 寝る前にスマホなどを見て、脳(心)を興奮させすぎない。
  • 適度な運動で、全身の「気血」の巡りを良くする。

第10章:まとめ:味覚は心と体のバロメーター。諦めずに体質から見直そう

味覚障害は、単なる「舌の問題」ではなく、あなたの心と体が発している**「バランスが乱れていますよ」という重要なサイン**です。

西洋医学で原因を特定し、必要な治療を受けること。そして、東洋医学の知恵を借りて、食事や生活習慣、セルフケアで体全体のバランスを整えていくこと。この両輪のアプローチが、あなたの失われた「食の楽しみ」を取り戻すための、最も確かな道筋です。

自己判断で諦めてしまう前に、ぜひ一度、信頼できる専門家(医師そして鍼灸師)に相談してみてください。あなたの体には、必ず良くなろうとする力が備わっています。

お悩みの方はぜひ一度ご相談下さい

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Profile

院長 / 吉池 弘明

頭の中は、つねに愛する家族と鍼治療のことでいっぱい。 耳鼻科疾患治療への探究心が強く、日々新たな治療法を模索する「はり・きゅうの日生まれ」62歳。 お医者様とは違った角度からの聴力検査と全身検査を取り入れ、のべ25万人を検査。 全国から来院する患者さんへの治療成果を上げている。

院長 / 吉池 弘明