耳詰まり(耳閉感)|原因は何なのか?

耳閉感(耳の詰まった感じ・塞がった感じ)の原因は非常に多岐にわたり、外耳・中耳・耳管・内耳・後迷路(脳へ続く神経)という耳のあらゆる部位の病態や、ストレス・首肩のこりなどの全身的要因が関係しています。

主な原因を部位別・病態別に整理すると以下のようになります。

1. 耳閉感を引き起こす部位別の主な原因

中耳・耳管の病変(最も頻度が高い)

耳管機能障害:耳管狭窄症(耳管が開きにくい)、耳管開放症(耳管が閉じにくい・開きっぱなし)。

中耳炎:滲出性中耳炎(中耳に液体が溜まる)、急性中耳炎、慢性中耳炎、好酸球性中耳炎など。

気圧変化:飛行機の離着陸、高層エレベーター、登山、ダイビング等による航空性中耳炎・中耳圧不均衡。

その他:外傷性鼓膜穿孔、耳硬化症。

内耳の病変(聴覚神経の入口のトラブル)

急性低音障害型感音難聴:低音域の聞こえが低下し、耳閉感や低音性耳鳴りを伴う。

メニエール病:内耳の水ぶくれ(内リンパ水腫)により耳閉感や聞こえの変動、めまいを繰り返す。

突発性難聴:突然左右どちらかの耳の聞こえが悪くなり、強い耳閉感や耳鳴りを伴う。

外リンパ瘻、上半規管裂隙症候群:内耳の窓や骨に穴が開き、圧変化や音で耳閉感やめまいが生じる。

外耳の病変(耳の穴のつまり)

耳垢栓塞(耳あかの詰まり)や水・髪の毛などの外耳道異物。

外耳道炎、外耳道湿疹、鼓膜炎、外耳道真珠腫・腫瘍など。

後迷路・中枢・その他の病変

聴神経腫瘍・小脳橋角部腫瘍:耳の奥の神経に生じる腫瘍(初期に耳閉感のみで受診することもある)。

顎関節症、首肩のこり(頸肩腕障害):三叉神経系など耳の周囲を支配する神経への体性感覚刺激が耳閉感として知覚される。

ストレス・自律神経の乱れ・不眠・心因:脳の感覚認知(ボリューム調整)が過敏化し、異種感覚相互作用や幻影感覚(ファントム感覚)として耳閉感が増幅される。

2. 受診時によく見られる疾患割合の傾向

一般的な耳鼻咽喉科クリニックの集計データなどでは、耳閉感を主訴に受診する患者さんの病内訳として以下のような傾向が報告されています:

中耳・耳管疾患:約40〜60%

内耳疾患:約20〜25%

外耳疾患:約3〜22%

その他(顎関節症、心因性、原因不明など):約8〜13%

3. 耳閉感が生じる2つの大きなメカニズム

物理的・器質的な圧変化や遮断

耳垢や液体で鼓膜が物理的に覆われたり、耳管の開閉不全によって鼓膜の内外で気圧差が生じたりすることで、鼓膜や中耳粘膜の触覚・圧センサー(三叉神経など)が直接刺激されて感じます。

脳(中枢)での神経回路の過敏化・認知エラー

低音域の難聴などによって内耳からの音の入力が減ると、脳(中枢)が感度を上げて音を探そうとし、隣接する体性感覚路(三叉神経など)の信号と混線を起こします。これにより、鼓膜や中耳に物理的な異常がなくても、脳が「耳が詰まっている」と錯覚(幻影感覚)して感じ続けることがあります。

4. 耳閉感が続いて治らなかったら

耳鼻咽喉科に通院していて、「症状が長期間固定している」「利尿剤や一般的な薬が効きにくい」といったケースでは、耳そのものの炎症や水腫だけでなく、上記のような耳管の機能・画像診断での精査(MRI等)や、脳の過敏化・ストレスへのアプローチ(音響療法や生活指導など)を総合的に見直すことが非常に大切になります。

専門的な鍼灸治療も効果が上がることが多いです。

この記事を書いた人

副院長 / 吉池 美奈子

宮崎県の名門鍼灸一家に生まれる。幼いころから鍼で風邪を治してもらうため、病院に連れていかれる友人をうらやましく思って育つ。患者さんへの寄り添いを1番に大切にし、スタッフ育成と耳鼻科疾患治療に奔走する二児の母。

副院長 / 吉池 美奈子

この記事を書いた人

副院長 / 吉池 美奈子

宮崎県の名門鍼灸一家に生まれる。幼いころから鍼で風邪を治してもらうため、病院に連れていかれる友人をうらやましく思って育つ。患者さんへの寄り添いを1番に大切にし、スタッフ育成と耳鼻科疾患治療に奔走する二児の母。

副院長 / 吉池 美奈子