西洋医学的なお薬の副作用が心配で漢方薬での治療を希望されたり、また、西洋医学的なお薬で効果が無かったので漢方薬を試される方も多いです。
このページでは、当院へ通院された患者さんが試された漢方薬についてわかりやすく解説します。
1. なぜ耳管開放症に漢方薬が効くのか?
東洋医学では、耳管開放症を単なる耳だけの問題ではなく、全身のエネルギーや水分・血流が不足・停滞している状態(「虚(きょ)」の状態)と捉えます。
急激な体重減少(やせ)、過労、ストレス、脱水、低血圧などによって体力が落ちると、耳管を外側から適度な圧力で閉じるための脂肪組織(オストマン脂肪体)や筋肉がやせたり、周囲の血流が低下したりして耳管が開きっぱなしになります。
漢方薬は、全身の血流や自律神経を整え、必要なエネルギー(気・血)を補うことで、耳管の周囲を流れる血液量を増やし、管を閉じやすくする根治的アプローチを得意としています。
2. 耳管開放症でよく使われる代表的な漢方薬
① 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)【第一選択薬】
- こんなタイプに
体力が低下している方、低血圧の方、胃腸が弱く疲れやすい方。
- メカニズム
- 昇提(しょうてい)作用:気や血液を頭部(上部)へ持ち上げる働きがあります。横になったり前屈したりすると症状が治まるのと同様に、頭部の血流を増やして耳管を外側から押し潰して閉じやすくします。
- 体調・体重の回復:胃腸の働きを高めて食欲を戻し、体重減少(耳管周りの脂肪の減少)を根本から改善します。
- 特徴
耳鼻咽喉科の臨床研究で非常に高い改善率が報告されており、第一選択薬(最初に試すべき薬)として広く使われています。
② 加味帰脾湯(かみきひとう)
- こんなタイプに
心身の疲労、精神的なストレス、不安感、不眠、イライラ、自律神経の乱れを伴う方。
- メカニズム
末梢の血流を増やす作用と、精神を安定させる抗ストレス作用を併せ持ちます。
- 特徴
心身ともに疲れ切っている患者さんに高い改善効果(約75%以上の有効性)を示し、耳鼻咽喉科の外来で非常に多く処方されています。
③ 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- こんなタイプに
冷えのぼせ、肩こり、血行不良(瘀血:おけつ)、ホルモンバランスの乱れがある方。
- 特徴
ドロドロした血流の滞りを解消する処方です。加味帰脾湯や補中益気湯だけでは効果が不十分な場合、これらと併用することで症状が劇的に改善するケースが多くみられます。
④ 五苓散(ごれいさん)
- こんなタイプに
体内の水分代謝がうまくいかず、むくみ、めまい、頭痛などを伴う方。
- 特徴
余分な水分(水滞)を排出し、体内の水分バランスを調整します。
3. 服用時のポイントと注意点
- 効果が現れる期間
早い方では1〜2週間で症状の和らぎを自覚しますが、体質改善や体重・組織の回復を伴うため、数か月間じっくり継続することで根本的な治癒につながることも多くあります。
- 副作用への配慮
補中益気湯や加味帰脾湯には「甘草(カンゾウ)」が含まれているため、長期間の服用や他薬との併用時は、むくみや血圧上昇(偽アルドステロン症)に注意しながら経過を観察します。

4. 東洋医学を使った治療
一般的にじっくり効果を上げていく体に優しい漢方薬というイメージが強いのですが、漢方薬にも副作用があります。副作用を最小におさえるために鍼治療を併用すると効果が上がります。
古来、漢方薬と鍼治療は両輪のように考えられてきました。もし、漢方薬を1か月程度試しても、思ったように効果があがらなかったら、鍼治療を併用することもお勧めです。
