耳管開放症が漢方薬(補中益気湯や加味帰脾湯など)だけで治らない(効果が出にくい)場合があります。
耳鼻咽喉科の治療では、軽症から中等症の耳管開放症に対しては漢方薬などの保存的治療で十分な効果が得られることが多いとされていますが、一部の重症例や難治例では保存的治療だけでは不十分なケースがあります。
漢方薬で治りにくい・効果が出ない主な理由
1. 耳管周囲の組織萎縮や構造変化が高度に固定化している場合
過度な体重減少や加齢、病気などによって、耳管を外側から閉じるための脂肪組織(オストマン脂肪体)や筋肉の萎縮・変性が著しく進行し固定化している場合、漢方薬による血流増加や組織のハリの回復だけでは開いた耳管腔を塞ぎきれないことがあります 。
2. 「鼻すすり癖」や中耳病変を併発している場合
自分の声が響く不快感を和らげるために日常的に「鼻をすする癖(鼻すすりロック)」がついていると、中耳内が常に強い陰圧になり、鼓膜の内陥や滲出性中耳炎などの病変を伴って病態が複雑化するため、漢方薬単独での改善が難しくなります。
3. 保存的治療抵抗性の難治例
漢方薬(補中益気湯等)をはじめとする生活指導や処置を6か月以上継続しても、自声強聴や耳閉感などの苦痛が改善しない「保存的治療抵抗例」が存在します。
漢方薬で改善しない場合の次のステップ(外科的治療)
6か月以上の保存的治療(漢方薬・生活指導・局所処置など)を行っても著しい症状が残存する難治性・重症例に対しては、外科的手術(手術療法)が検討されます。
- 耳管ピン挿入術(Kobayashi plug)
経鼓膜的にシリコン製の「耳管ピン」を耳管峡部へ挿入し、過剰な通気を直接ブロックする保険適用された最新の手術です(改善率は約80%とされています)。
- 経鼓膜換気チューブ留置術
鼓膜に小さな換気チューブを留置し、中耳の圧力変化を逃がすことで鼓膜の動揺や不快感を和らげます(特に鼻すすり型耳管開放症に有効です)。

漢方が効かない方へ
耳管開放症は、10人の患者さんがいれば10人共に原因がモザイク状に異なります。そのため、原因に合わせてパーソナルな治療が必要なことが多いです。
鍼治療なら細かな治療の配慮ができるので、漢方薬の補助治療に最適です。
古来、東洋医学は漢方と鍼治療の両輪で発展してきました。重症例になると外科的な治療に進むことも多く、術後症状に悩まれる方も多いので、早めにカラダに優しいアプローチを試してみましょう。
