耳管狭窄症|一般的な治し方

耳管狭窄症(耳管が開かない・狭くなり中耳の換気が阻害される状態)の治療法は、原因となる疾患の治療を基本とし、保存的治療(薬物療法・局所処置)から段階的に外科的治療へ進めるアプローチが取られます。

1. 原因疾患の治療(基本アプローチ)

耳管狭窄症は、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、上咽頭炎(感冒等)などを伴っていることが多いため、原因となる鼻・上咽頭の炎症治療を同時に行うことが最優先されます。

  • 抗アレルギー薬:アレルギー性鼻炎を伴う場合、ロイコトリエン受容体拮抗薬(シングレア等)やステロイド点鼻薬などが用いられます。
  • 原因疾患の処置:アデノイド肥大や上咽頭の炎症がある場合は、それらに対する処置や内服を行います。

2. 保存的薬物療法

耳管粘膜の消炎や粘液過剰分泌の抑制、線毛運動の改善を図る内服治療です。

  • マクロライド系抗菌薬の少量長期療法:クラリスロマイシン等の14員環マクロライド系抗菌薬を少量で3〜6か月間長期投与することで、消炎作用、粘液分泌抑制、粘膜の線毛輸送機能の改善が期待できます。
  • 粘液調整薬・去痰薬(カルボシステイン等):粘膜の線毛排泄機能を改善・修復し、中耳貯留液や粘稠な分泌物の排出を促します。
  • ステロイド薬:炎症が強く狭窄が重度な場合、点鼻や全身投与で一時的に粘膜の浮腫を抑える目的で用いられます。

3. 外来での局所処置

  • 耳管通気療法(耳管カテーテル・ポリッツェル球):鼻腔から耳管咽頭口へ通気管を挿入し、適度な送気によって中耳腔の換気を図り、粘液の停滞を防ぎます。※無理な通気圧の上昇は皮下気腫などの合併症を起こす恐れがあるため厳禁とされています。

4. 外科的・処置的治療(難治例・重症例)

保存的治療で十分な改善が得られない場合や、滲出性中耳炎などを併発して中耳陰圧が改善しない場合に検討されます。

  • 鼓膜切開術・鼓膜換気チューブ留置術:鼓膜を切開して中耳内の貯留液を排除し、小さなチューブ(グロメット)を留置して中耳腔の換気を維持します。
  • 耳管バルーン開大術(BET: Balloon dilation Eustachian tuboplasty):経鼻内視鏡下に耳管咽頭口からバルーン付きカテーテルを挿入し、軟骨部耳管の狭窄部を物理的に拡張させる低侵襲な手術法です。
  • 耳管レーザー手術(Laser tuboplasty):CO2レーザーやKTPレーザーを用いて、耳管咽頭口周囲の肥厚した粘膜を焼灼・減量させて通りを良くする治療法です。
  • 耳管鼓膜チューブ(ETT)/ 人工耳管挿入術:鼓膜チューブと耳管内チューブを合体させ、耳管鼓室口から耳管峡部を超えて留置することで中耳と耳管の換気を直接保持する方法です。

5. 東洋医学(漢方・鍼灸)によるアプローチ

東洋医学では、病態や体質(気血の滞りや脾虚・腎虚など)に合わせて全体のバランスを整えます。

  • 漢方療法:風熱・気滞には疏風散邪や行気通竅の方剤(荊防敗毒散や通気散等)、脾虚・気血不足が背景にある慢性例には健脾益気の方剤(補中益気湯合通気散等)などが用いられます。
  • 鍼灸療法:耳周囲の経穴(聴宮、聴会、耳門、翳風など)や手足・背部のツボ(合谷、内関、足三里など)へ刺激を加え、局所および全身の経絡の巡りを改善します。

この記事を書いた人

耳鼻咽喉科疾患 認定鍼灸師 / 相良 明範

お医者様の治療が確立されていない家族の病気をきっかけに、鍼灸師になることを志す。一見クールに見られがちだが、優しさは人一倍。患者さんの不安にしっかり向き合い、丁寧に耳鼻科疾患の改善に必要な治療法を提案している。独特なコミュニケーション力により、スタッフや患者さんとの厚い信頼関係を築いている。

耳鼻咽喉科疾患 認定鍼灸師 / 相良 明範

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お医者様の治療が確立されていない家族の病気をきっかけに、鍼灸師になることを志す。一見クールに見られがちだが、優しさは人一倍。患者さんの不安にしっかり向き合い、丁寧に耳鼻科疾患の改善に必要な治療法を提案している。独特なコミュニケーション力により、スタッフや患者さんとの厚い信頼関係を築いている。

耳鼻咽喉科疾患 認定鍼灸師 / 相良 明範