鍼灸師の将来性に絶望する前に。40年経営してたどり着いた「たった一つ」の真実

「鍼灸師の将来性」――。この言葉を検索しているあなたは、日々の臨床での焦りや、未来への漠然とした不安を抱えていることでしょう。

40年前、輝かしい未来を信じて鍼灸院を開業した私も、かつては同じでした。学校の成績はトップクラス、寝る間も惜しんで勉強し、1日100人を超える患者さんを診る日々。傍から見れば「大成功」です。しかし、その実態は20年間も続く、心身をすり減らすだけの苦しい経営でした。

この記事は、巷の経営セミナーでは誰も教えてくれない、40年間の苦悩の末に一人の鍼灸師が見つけ出した「魂の答え」です。もしあなたが道に迷っているなら、未来を切り拓くヒントがここにあります。

なぜ頑張りは報われない？鍼灸業界に蔓延する「耳障りの良い嘘」

あなたが「鍼灸師 将来性」で検索して目にするのは、鍼灸学校や転職サイトが謳う「これからの時代、鍼灸師は求められる！」「年収1000万円も夢じゃない！」といった、きらびやかな言葉ではないでしょうか。

学校や転職サイトが語らない不都合な真実

彼らは、あなたを業界に「引き込む」ための甘い言葉を並べますが、その裏にある厳しい現実には決して触れません。かつての私のように、身を粉にして働いても利益が残らず、疲弊していく鍼灸師がどれほど多いことか。

この構造に気づかず、「もっと頑張れば」「もっと勉強すれば」と信じ続けることは、出口のないトンネルをひたすら走り続けるのと同じです。

苦悩20年、たどり着いた答えは「患者さんを選ぶ」という覚悟

1日100人の流れ作業のような施術。腰痛、肩こり、不眠…あらゆる訴えに応えようと必死でしたが、私のエネルギーは、過度な期待を寄せる方や、リラクゼーション目的の方への対応で奪われていきました。本当に私の鍼灸を必要とする患者さんに、全力を注げなくなっていたのです。

「誰でも治す」という幻想が自分を苦しめていた

売上のために数をこなせば、治療の質が下がり、心は疲弊し、経営はさらに悪化する。この負のスパイラルから抜け出すきっかけは、衝撃的なほどシンプルな気づきでした。

「もしかして、私は患者さんを選ぶべきなのではないか？」

「選ぶ」ことは「見捨てる」ことではない

これは患者さんを切り捨てる冷たい行為ではありません。むしろ逆です。自分の鍼灸が最も効果を発揮できる患者さんを自ら選び抜き、そこに全力を注ぐこと。 これこそが、患者さんと自分自身を同時に救う、唯一の道だと確信したのです。

「患者さんを選ぶ」ことで鍼灸師の未来はこう変わる

「患者さんを選ぶ」と覚悟を決めてから、私の鍼灸院は劇的に変わりました。「私の治療は、本気で治したいと願う〇〇な方のための場所です」と明確に発信し、それ以外の方には正直に不適応を伝えるようにしたのです。

1. 経営が経営が安定し、無理な集客から解放される

最初は恐怖でしたが、結果は逆でした。私の価値を理解してくれる熱意ある患者さんだけが集まり、客単価は向上。質の高い治療が評判を呼び、口コミと紹介で経営は安定していきました。

2. 専門性が高まり、治療家として成長できる

得意分野に特化することで、知識と技術は加速度的に深まります。広く浅い対応から、狭く深い専門家へ。治療家としてのレベルが格段に上がっていくのを実感しました。

3. 心からの「ありがとう」が、本当のやりがいになる

何よりも、仕事が心から楽しくなりました。深い信頼関係の中でいただく感謝の言葉一つひとつが心に響き、鍼灸師という仕事への誇りを取り戻すことができたのです。

未来の鍼灸師たちへ。あなたの価値を、あなたが決める

もしあなたが今、将来に不安を感じているなら、一度立ち止まってください。

もう一度問うてほしい「あなたは、誰を救いたいか？」

その答えをあなた自身の言葉で明確にし、それ以外のものを手放す勇気を持ってください。「誰にでも良い顔をする」のは、誰に対しても無責任なのです。

鍼灸師の将来性は、決して暗くありません。業界や他人の言葉に惑わされず、自らの信念で「患者さんを選ぶ」と決めたとき、あなたの目の前には、明るく希望に満ちた道が拓けているはずです。

40年の経験を持つ一人の老鍼灸師として、私はそれを断言します。