
「急に耳が聞こえにくくなった」「グラグラするようなめまいが続く」――そんな症状に心当たりはありませんか?
それはもしかすると、**外リンパ瘻(がいりんぱろう)**という耳の病気かもしれません。
この病気は、内耳から外リンパ液という大切な液体が漏れ出すことで起こります。
原因や症状がわかりづらく、突発性難聴やメニエール病と間違われることもありますが、早期発見・早期治療で回復が期待できる病気です。
この記事では、医療の専門知識がない方でも安心して読めるよう、外リンパ瘻についてやさしく丁寧に解説します。
はじめに:突然の「耳の詰まり」や「めまい」に不安を感じたことはありませんか?
ある日、鼻を強くかんだあとに「耳がボワッと詰まった感じがする」「急に聞こえが悪くなった」「地面がグラグラするようなめまいが起きた」――そんな経験がある方は少なくないかもしれません。
このような症状の裏には、**外リンパ瘻(がいりんぱろう)**という耳の病気が隠れている可能性があります。
聞き慣れない病名かもしれませんが、内耳から「外リンパ液」という重要な液体が漏れ出してしまう状態で、放っておくと聴力の低下や慢性的なめまいを引き起こすこともあります。
この記事では、医療知識がない方でも理解できるよう、外リンパ瘻の「原因」「症状」「診断」「治療法」などを、やさしい言葉でくわしくご紹介します。
外リンパ瘻とは?内耳からの液体漏れが引き起こす病気
耳の奥には「内耳(ないじ)」と呼ばれる、大事な器官があります。ここは音を聞く・バランスを保つという2つの役割を担っています。
内耳には「外リンパ液(がいりんぱえき)」という液体が入っていて、この液体が耳の中で安定して保たれていることで、私たちは正常に音を聞き、姿勢を保つことができます。
しかし、何らかの理由で内耳の膜が破れると、この外リンパ液が中耳(ちゅうじ)という空間に漏れ出してしまいます。
この状態を「外リンパ瘻(がいりんぱろう)」と呼びます。
漏れた液体の影響で、音がうまく伝わらなくなったり、平衡感覚が乱れてしまったりするため、次のような症状が出やすくなります。
外リンパ瘻の主な症状とは?音とバランスの不調を見逃さないで
外リンパ瘻の代表的な症状には、以下のようなものがあります:
◆ 突然の「聞こえにくさ」(感音難聴)
ある日突然、耳が詰まった感じや音がこもって聞こえるようになることがあります。片耳だけのこともあれば、両耳に感じる方もいます。
この難聴は進行したり、波があったりするのが特徴で、突発性難聴と間違われることもあります。
◆ めまい・ふらつき
まるで「グルグルと地面が回っているような感覚」や「足元がふわふわする」といった症状が出ることも。
外リンパ液の漏れによって内耳のバランスをとる機能が乱れてしまうためです。
◆ 耳鳴り・耳閉感
「ゴー」「シャー」といった耳鳴りや、「水の中にいるような圧迫感」「ポンという破裂音」が起こることもあります。これらの感覚は非常に不快で、日常生活に支障をきたすこともあります。
◆ 頭の重さや違和感
耳の異常が続くと、頭重感(頭の重だるさ)や集中力の低下を訴える方もいます。
外リンパ瘻はなぜ起きる?主な原因と誘因を知って予防につなげる
外リンパ瘻にはさまざまな「きっかけ」があります。多くの場合、以下のような要因が引き金になります。
◆ 鼻を強くかんだり、くしゃみをしたあと
思い切り鼻をかんだり、激しい咳・くしゃみをしたあとに起こることがあります。これを「内因性圧外傷(ないいんせいあつがいしょう)」と呼びます。
耳の奥に一気に圧力がかかることで、膜が破れるのです。
◆ 飛行機やダイビングなどでの気圧変化
飛行機の離着陸、スキューバダイビングなど、気圧が急に変化する環境にいたときも要注意です。耳抜きがうまくいかない場合、耳に大きな負担がかかります(外因性圧外傷)。
◆ 転倒やスポーツによる頭部外傷
頭をぶつけた、ボールが耳に当たったなどの衝撃でも起こり得ます。
◆ 生まれつきの内耳の奇形
特に子どもの場合は、もともと内耳に構造上の弱点があり、ちょっとした圧力でもリンパ液が漏れやすくなっていることがあります。
診断はどうやって行うの?「CTP検査」が鍵になることも
外リンパ瘻は見た目だけでは判断できない病気です。そのため、いくつかの検査を組み合わせて診断を進めていきます。
1. 問診と身体診察
「いつから聞こえが悪くなったのか?」「何かきっかけはあったか?」といった問診がとても重要です。
鼻をかんだ、飛行機に乗ったなどのエピソードは重要な手がかりになります。
2. 聴力検査・平衡機能検査
音に対する反応をチェックしたり、眼球の動きを観察して、平衡感覚に異常がないかを調べます。
3. CTP(コクリントモプロテイン)検査
外リンパ液の中に含まれる特殊なたんぱく質「CTP」が中耳にあるかどうかを調べる検査です。
この検査で陽性になると、外リンパ瘻の可能性が非常に高くなります。
治療法は?保存的治療と手術の選択肢
外リンパ瘻の治療には、「保存的治療」と「手術療法」の2つがあります。症状の強さや経過によって、どちらを選ぶかが決まります。
◆ 保存的治療:まずは安静と薬物療法から
- ベッドで安静に過ごす(特に頭の位置を高く保つ)
- 強いくしゃみや鼻かみを避ける
- ステロイド薬やビタミン剤の内服
- 専門家が行う鍼灸治療も効果的です
軽症であれば、これらの方法で自然と瘻孔(ろうこう=漏れた部分)がふさがることもあります。
◆ 手術療法:瘻孔閉鎖術
保存療法で改善が見られない場合や、聴力の低下が進んでいる場合には、手術によって漏れている部分をふさぐ処置が行われます。
耳の後ろや鼓膜を通して、耳の奥にある破れた膜を特殊な素材で閉鎖する手術です。
手術のタイミングが早いほど、聴力回復の可能性が高まることが研究で示されています。
外リンパ瘻を放置するとどうなる?慢性化・後遺症のリスクに注意
「しばらく様子を見よう」「そのうち治るかも」と思っているうちに、外リンパ瘻が慢性化してしまうこともあります。
特に聴力低下や平衡障害が続くと、日常生活に大きな支障をきたします。
また、治療が遅れることで聴力の回復が難しくなるケースもあるため、違和感を覚えたらできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
まとめ:外リンパ瘻は「耳の異変」に早く気づくことがカギ
- 外リンパ瘻は内耳からリンパ液が漏れ出す耳の病気
- 難聴、めまい、耳鳴りなどの症状が突然あらわれる
- 鼻かみ・飛行機・頭部打撲などが誘因になる
- CTP検査や聴力・平衡検査で診断される
- 軽症なら安静と薬で、重症なら手術で改善が期待できる
- 放置せず早めの診断・治療が大切!
「もしかして外リンパ瘻かも?」と感じたら…
たとえ一時的な耳の不調でも、原因が外リンパ瘻である可能性はゼロではありません。
「聞こえ方がおかしい」「頭がフワフワする」「耳の中で変な音がした」――そんなときは、早めに耳鼻咽喉科専門医に相談してください。
未来の聴力と生活の質を守るために、早めの行動があなた自身を守ります。
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