聴神経腫瘍、特に「神経線維腫症2型(NF2)」と診断され、手術やその後の後遺症について、終わりの見えない不安を抱えていませんか?
「手術で聴力はどうなるのだろう…」 「顔面神経麻痺が残ったら、元の生活に戻れるのだろうか…」 「目を閉じると口が歪む、顔の突っ張り感が辛い…」
この記事は、そんな深刻な悩みを抱えるあなた、そして長年、同じようなお悩みを持つ多くの患者さんと向き合ってきた専門家の視点から書いています。
現代医学による手術は、腫瘍を取り除くために最も重要な治療です。しかし、その一方で、術後の後遺症が生活の質(QOL)を大きく下げてしまう可能性があるのも、また事実です。
西洋医学とは異なるアプローチである鍼灸治療が、その辛い後遺症を和らげ、あなたの「これから」を支える大きな力になるかもしれません。この記事では、NF2による聴神経腫瘍の特性と、私たち鍼灸治療に何ができるのかを、これまでの経験に基づいて詳しく解説します。
神経線維腫症2型(NF2)とは?- 通常の聴神経腫瘍との違い
まず、神経線維腫症2型(NF2)について正しく理解することが重要です。NF2は国の指定難病であり、遺伝子の変異によって体内の神経に腫瘍ができやすくなる病気です。
NF2の主な原因と症状 (参考: 難病情報センター, 難病情報センター)
- 原因: 第22番染色体にあるNF2遺伝子の異常が原因です。
- 主な症状:
- 両側性の聴神経腫瘍: 最も特徴的な症状です。両方の耳の聴神経に腫瘍が発生します。
- 聴力低下、耳鳴り、めまい: 腫瘍が大きくなるにつれて、これらの症状が現れます。
- その他、皮膚の腫瘍、白内障などもみられます。
NF2による聴神経腫瘍が通常の(片側性の)聴神経腫瘍と大きく異なるのは、その手術の難易度と後遺症のリスクの高さにあります。
NF2の手術が困難な理由
- 顔面神経との癒着: NF2の腫瘍は、顔の筋肉を動かす「顔面神経」と強く癒着しているケースが多く、手術で腫瘍を摘出する際に、顔面神経を傷つけずに剥がすことが非常に困難です。
- 両側性: 片側の手術で聴力を失い、顔面神経麻痺が残ったとしても、もう一方の耳にも腫瘍があります。両側の手術を行えば、聴力を完全に失う(全聾)リスクと常に向き合わなければなりません。
このため、手術が成功したとしても、多くの患者さんが術後の深刻な後遺症に苦しむことになります。
避けては通れない?手術後の深刻な後遺症
NF2の聴神経腫瘍の手術後に起こりうる後遺症は、生活に大きな影響を与えます。私たちのもとへ相談に来られる方の多くも、こうした症状に深く悩まされています。
- 顔面神経麻痺: 笑顔が作れない、片目が閉じにくい、口から水がこぼれるなど、表情が作れなくなるだけでなく、日常生活に支障をきたします。
- 病的共同運動: 顔面神経麻痺が回復する過程で起こる後遺症です。「目を閉じようとすると、口元が一緒に引きつってしまう」「口を動かすと、目が閉じてしまう」など、意図しない筋肉が同時に動いてしまう状態です。
- 顔の突っ張り・痛み: 常に顔がこわばり、引きつるような感覚や痛みが続きます。
- 兎眼(とがん)による角膜潰瘍: 麻痺によって目が完全に閉じられないため、角膜が乾燥し、傷や潰瘍ができてしまうことがあります。
- 小脳症状による片側麻痺: 腫瘍が小脳を圧迫していた場合、術後に体の片側のバランスが取りにくくなったり、麻痺が残ることがあります。
- 聴力喪失と方向感覚の喪失: 片側の聴力を失うと、音がどちらから聞こえてくるのかが分からなくなります(音の方向定位の障害)。両側を手術すれば、音のない世界で生きていくことになります。
これらの後遺症は、単なる身体的な問題だけでなく、「人前に出たくない」「笑顔になれない」といった精神的な苦痛にも繋がります。
その辛い後遺症に、鍼灸治療ができること
「手術後の後遺症は、もう諦めるしかないのか…」
いいえ、そんなことはありません。もちろん、鍼灸で失った聴力を取り戻したり、麻痺を完全に元通りにすることはできません。しかし、残された機能を最大限に活かし、辛い症状を和らげ、生活の質(QOL)を高めるために、私たちにできることは数多くあります。
1. 顔面神経麻痺・病的共同運動への緻密なアプローチ
鍼灸治療が最も力を発揮できる分野の一つです。重要なのは、ただ麻痺した筋肉に鍼を打つのではなく、なぜその症状が起きているのかを深く考察することです。
- 神経への栄養供給と回復促進: 私たちの施術では、麻痺している顔の筋肉や神経支配を正確に捉え、局所の血流を改善します。これにより、傷ついた神経の回復に必要な酸素と栄養を届け、再生を力強くサポートします。
- 病的共同運動の鎮静化: 病的共同運動は、神経が誤った再接続をすることで起こります。この神経の過剰な興奮を鎮め、筋肉の異常なこわばりをピンポイントで緩める繊細な技術が求められます。これにより、意図しない動きを抑制し、より自然な表情を取り戻すことを目指します。
2. 顔の突っ張り・痛みの根本改善
持続的な顔の不快感は、心身を蝕みます。
- 痛みの連鎖を断ち切る: 痛みや突っ張りの「本当の原因」となっている深層の筋肉の硬さ(トリガーポイント)を見つけ出し、的確にアプローチすることで、表面的な緩和ではない、根本的な改善を目指します。鍼の鎮痛作用と筋弛緩作用を最大限に引き出す、熟練を要する手技です。
3. 全身を診ることで「治る力」を引き出す
私たちは、症状が出ている顔だけを見ることは決してありません。NF2という疾患、そして大きな手術は、心身に計り知れない負担をかけます。その全体像を捉えることが、回復への最短距離だと信じています。
- 自律神経の正常化: 術後の不眠、不安感、疲労感は、自律神経の乱れが原因です。手足のツボなどを使い全身を調整することで、心身をリラックスさせ、体が本来持つ「治る力」が最大限に発揮される環境を整えます。
まとめ:希望を捨てずに、まずは一度ご相談ください
神経線維腫症2型(NF2)という診断、そして聴神経腫瘍の手術と向き合うことは、想像を絶する困難を伴います。顔面神経麻痺や聴力喪失、その他の後遺症は、あなたの人生の質を大きく左右する問題です。
西洋医学的な治療で「これ以上は難しい」と言われた症状でも、鍼灸治療という別の視点が、あなたのQOLを改善する鍵になるかもしれません。
「自分の症状でも効果があるのだろうか?」 「どんな治療をするのか、まずは話だけでも聞いてみたい」
そう思われるのは当然です。もしあなたがこの記事を読んで、少しでも可能性を感じていただけたなら、どうか一人で悩みを抱え続けないでください。
私たちは、あなたのお話をじっくりと伺い、これまでの豊富な経験に基づき、鍼灸治療でどのような可能性があるのかを誠心誠意お答えします。無理に治療をおすすめすることは決してありません。あなたのその一歩が、より良い明日へ繋がることを心から願っています。
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