
はじめに:顔の「ビリッとした痛み」、放っていませんか?
ある日突然、歯を磨いていたら「ズキン!」
風が顔に当たっただけで「ビリビリッ!」
そんな一瞬だけど強烈な顔の痛みを感じたことはありませんか?
それ、「三叉神経痛(さんさしんけいつう)」という病気かもしれません。
この病気は、顔の神経が刺激されることで電気ショックのような激しい痛みが走るのが特徴で、放っておくと食事や会話すら怖くなるほどつらい状態になることもあります。
この記事では、医療の知識がない方でも安心して読めるように、三叉神経痛の症状・原因・治療法について、やさしくていねいに解説していきます。
三叉神経痛ってなに?顔にある「痛みのスイッチ」
「三叉神経(さんさしんけい)」は、顔の感覚を脳に伝えるとても大切な神経です。
左右に一本ずつあり、それぞれが3つの枝(目のまわり・ほっぺた・あご)に分かれて、顔の広い範囲をカバーしています。
この神経にトラブルが起こると、顔の一部に強い痛みが突然出るようになります。
これが「三叉神経痛」です。(昔は、顔面神経痛とも呼ばれていました。)
どんな症状が出るの?こんな痛みには要注意!
三叉神経痛の痛みは、ちょっとほかの痛みとは違います。
たとえば……
- 電気が走るような「ビリッ」「ズキン」とした痛み
- 数秒~2分程度でスッと消えるけど、また何度も繰り返す
- 顔を洗う、歯を磨く、食事をする、話す、風が当たる――ほんのちょっとした刺激でも起こる
人によっては、痛みが怖くて顔を触れなくなってしまうこともあります。
特に片側だけに痛みが集中するケースが多く、「毎日同じ場所にだけ痛みが出る」という特徴があります。
原因は?なぜこんな激痛が起こるの?
いちばん多いのは、脳の中にある血管が、三叉神経を圧迫してしまうことです。
脳の血管は年齢とともに曲がったり伸びたりすることがあり、その血管が神経に触れてしまうことで、ちょっとした刺激にも強い痛みを感じるようになるのです。
まれに、脳腫瘍や神経の病気、ケガの後遺症が原因になることもあります。
どんな人がなりやすいの?
三叉神経痛は、40代以降の女性にやや多く見られます。
ただし、若い方や男性でも発症することがあります。
- ストレスが強い
- 睡眠不足
- 過去に顔や頭のケガをしたことがある
こうした要素が重なると、症状が出やすくなると言われています。
どうやって調べるの?検査や診断について
医師はまず、**「どこが痛むのか」「どんなふうに痛むのか」**をくわしく聞き取ります。
その上で、次のような検査を行うことがあります:
- MRIやCT検査:神経がどのように圧迫されているかを見る
- 血液検査や神経反応のチェック:ほかの病気との区別をつける
これらの検査で原因を特定することで、最適な治療法を選ぶことができます。
治療はどうするの?薬と手術、そして新しい方法も
三叉神経痛の治療は、ひとつではありません。
症状の強さ、生活スタイル、年齢、副作用の出方などに合わせて、あなたに合った治療法を選ぶことが大切です。
🟠 薬による治療(まずはこれから)
三叉神経痛の治療で最初に使われるのは、「カルバマゼピン」というお薬です。
神経の異常な電気信号をおさえて、痛みの発作を防ぐ効果があります。
人によっては、副作用として「眠気」「めまい」「肝機能の異常」などが出ることもありますが、多くの方がこの薬で症状をコントロールできています。
薬が合わない場合は、ガバペンチンやラモトリギンなどの別のお薬に変更することも可能です。
🟢 鍼治療(自然な回復力を高める東洋医学)
「薬をなるべく使いたくない」「副作用がつらい」「痛み止めでは根本的に解決できない」と感じている方には、鍼灸(しんきゅう)治療という選択肢があります。
鍼治療では、顔や首まわりのツボを刺激して、神経の緊張をやわらげ、痛みをコントロールすることを目指します。
さらに、血流を改善し、自律神経のバランスを整えることで、根本的な体質改善も期待できます。
最近では、三叉神経痛の専門鍼灸院もあり、薬との併用で症状が軽くなったという声も多く聞かれます。
🟡 神経ブロック(注射で一時的に痛みをとめる)
「どうしても今の痛みを抑えたい」という方には、神経ブロック注射が有効です。
これは、痛みの出どころに麻酔を注射して、神経の信号を一時的にストップさせる治療法です。
効果は数日〜数週間と限られますが、「大事な行事の前だけ受けたい」というケースにも使われます。
🔵 放射線治療(ガンマナイフ)
「手術は怖いけど、薬も効かなくなってきた…」という方に注目されているのが、ガンマナイフ治療です。
これは、神経の圧迫されている部分に向けて、ピンポイントで放射線を当てることで、痛みの元をおさえる治療です。
皮膚を切る必要がないため、高齢の方や体力に不安がある方にも向いています。
ただし、効果が出るまでに数週間〜数か月かかる場合があり、即効性は低めです。
🔴 手術による治療(根本から治す)
◆ 微小血管減圧術(MVD)
もっとも根本的な治療法がこの「微小血管減圧術」です。
神経を押さえている血管を丁寧に剥がし、圧迫が再発しないようにクッションを入れる手術です。
この手術は成功率が高く、再発も少ないとされ、若い方や体力のある方には特におすすめです。
◆ グリセロール注入法(破壊療法のひとつ)
「開頭手術は避けたいけれど、しっかり効果がほしい」という方に選ばれることがあるのが、グリセロール注入法です。
これは、神経のある部分に細い針を入れて、神経に痛みを伝える働きを弱める薬(グリセロール)を注入する治療です。
治療後すぐに痛みが軽くなることが多く、身体への負担が少ない点がメリットですが、効果が一時的なこともあり、再発やしびれのリスクがあります。
それぞれの治療法には「合う・合わない」がある
三叉神経痛は、治療の選択肢が非常に多い病気です。
だからこそ、「どれがいちばん効くか」よりも、自分に合った治療を見つけることが大切です。
「副作用をできるだけ避けたい」
「できれば自然な方法で回復したい」
「一刻も早くこの痛みから解放されたい」
あなたの思いや生活状況に合わせて、医師・鍼灸師と一緒に無理なく続けられる治療法を選んでいきましょう。
放っておくとどうなるの?
三叉神経痛は、我慢すればするほど症状が強くなっていく病気です。
最初は「たまにズキンとする」くらいだった痛みが、日常生活のすべてに影響するようになることもあります。
食べるのが怖い、笑うのが怖い、人と話すのもつらい……そんな状況にまでなる前に、早めの診断・治療がとても大切です。
最後に:あなたの痛み、あきらめないでください
三叉神経痛は、たしかに強い痛みをともなう病気です。
でも、今では薬も手術も、そして放射線治療などの新しい治療法も進歩していて、希望のある病気になっています。
「これって私のことかも…」と思った方は、ひとりで悩まず、ぜひ早めに神経内科や脳神経外科、または専門の痛み外来にご相談ください。
あなたの「痛みのない生活」は、きっと取り戻せます。
三叉神経痛は、たしかに強い痛みをともなう病気です。
でも、今では薬も手術も、そして放射線治療などの新しい治療法も進歩していて、希望のある病気になっています。
「これって私のことかも…」と思った方は、ひとりで悩まず、ぜひ早めに神経内科や脳神経外科、または専門の痛み外来にご相談ください。
あなたの「痛みのない生活」は、きっと取り戻せます。
当院までのルートを詳しく見る
関東方面からお越しの場合
バスで
電車で
バスで
電車で
バスで
電車で
バスで
電車で
北陸・東海方面からお越しの場合
バスで
電車で
バスで
電車で
バスで
電車で
バスで
電車で