舌痛症とは?なぜ病院では治せないのか
舌痛症は、舌に器質的な異常がないのに痛みが起こる病気です。「器質的な異常がない」とは舌に傷や潰瘍などの眼に見える異常が存在しない状態という意味です。くわえて、炎症を感知するような臨床検査値にも異常は現れないため、舌痛症は客観的に有無や程度を把握するのが困難な病気といえます。
舌痛症の症状チェック
以下の症状に心当たりはありませんか?
- ヒリヒリと焼けるような痛み
- ピリピリした電気的な痛み
- チクチクと刺されるような痛み
- カーッとした灼熱感
- じんじんとしびれるような感覚
痛む場所も、舌の先端や左右など様々です。痛みは安静時に増悪し、食事や会話など、何か他のことに集中している時には痛みを忘れることが多いようです。寝ている間も痛みません。
なぜ西洋医学では治せないのか
舌痛症の明確な原因はまだ明らかになっていません。一方で更年期の女性に多い点などからホルモンとの関連や遺伝的な要因が関係しているという説が挙げられています。
西洋医学では対症療法しか選択肢がなく、根本的な解決に至らないケースが多いのが現状です。
東洋医学で見る舌痛症の根本原因
舌と五臓六腑の関係
東洋医学で舌は五臓六腑の「心」と気血生化の源である「脾胃」は密接に関係しており、臓腑や気血の病変が舌に反映されます。また、「心」は精神活動を担っている臓器でもあるため過度なストレスが「心」に影響を与えることもあります。
熱邪による舌痛症
さらに、舌痛症は熱邪と関係が深い疾患と捉えます。熱邪は病気の原因(病因)の一つで、自然界の火熱により生じる現象に似た症状を引き起こす病邪です。
東洋医学では舌痛症を以下の2つのタイプに分けて考えます:
1. 実熱タイプ(じつねつ)
- 原因: ストレス・精神的緊張・過度の感情変化
- 症状: 舌の左右の側面が痛む、口が苦い、イライラしやすい
- 治療: 肝気の鬱結を和らげ、肝火を鎮める
2. 虚熱タイプ(きょねつ)
- 原因: 陰液不足・加齢・慢性疲労
- 症状: 舌の先端の熱感、口の渇き、不安感
- 治療: 陰液を補い、虚熱を冷ます
舌痛症に効果的な漢方薬治療
主要な漢方薬と効果
1. 加味逍遙散(かみしょうようさん)
もともとは、精神不安などの精神神経症状に用いられる漢方である。舌痛症の治療においては、最初に使用されることの多い漢方薬で、10種類の生薬で構成され、内分泌的な調整作用と鎮痛作用、鎮静作用がある。
適応症状:
- 更年期の症状を伴う舌痛症
- イライラ・不安感が強い
- ホルモンバランスの乱れ
2. 立効散(りっこうさん)
5つの生薬から構成され、表面麻酔効果、鎮痛作用、抗炎症作用を併せもつ漢方薬で、舌の痛みを和らげる効果がある。舌痛症以外にも、歯の痛み、抜歯後の歯の痛みに対する鎮痛剤としても用いられる。
使用方法:
- 粉末をお湯に溶かしてうがいする方法も効果的
- 直接的な鎮痛効果が期待できる
3. 五苓散(ごれいさん)
通常、口渇、ドライマウスに対し使用される漢方である。舌痛症の患者さんの半数以上が、ドライマウスと言われておりそれに対応する漢方である。また。舌に歯の圧痕がついているのは、漢方では、体内の水分代謝が不十分とされています。五苓散は、水分の代謝を調整する作用があります。
治療成功例
当店にいらした方で、3週間の漢方薬の服用により長い間悩まされてきた舌痛症が改善した症例をご紹介させて頂きます。
60代女性の改善例:
- 半年間続いた舌先のひりひり感
- 3週間の漢方薬服用で著明改善
- 疲れやストレスとの関連性を体質改善で解決
鍼灸治療による舌痛症改善法
鍼灸が効果的な理由
舌痛症の患者さんは疲労やストレスを抱えていることが多く、それは舌痛症の痛みに密接に関係していると考えられています。
鍼灸治療では以下のアプローチで改善を図ります:
1. 自律神経の調整
- 副交感神経を優位にする
- 交感神経の過緊張を緩和
- ストレス反応の正常化
2. 局所血流の改善
まず、顔面部の血流を良くするためうつ伏せで首や肩周りに鍼やお灸をして筋緊張を緩め、仰向けでお顔周りのツボに鍼やお灸で刺激を与え、痛みを感じる神経の機能を整える施術を行います。
3. 五臓六腑の機能調整
- 心の機能を整える
- 脾胃の働きを正常化
- 気血の流れを改善
効果的なツボ
主要なツボ位置
- 百会(ひゃくえ) – 頭頂部、自律神経調整
- 神門(しんもん) – 手首内側、心の安定
- 三陰交(さんいんこう) – 内くるぶし上、ホルモン調整
- 合谷(ごうこく) – 手の甲、痛み緩和
セルフケアとしてのツボ押し
効き方には個人差があります。押して痛みがあったり、イタ気持ちいいようなところが目安になります。1か所でも数ヵ所でも大丈夫です。自分に合いそうなツボを見つけて組み合わせて押してみてください。強く押しすぎず、ジワーッと優しく指圧してください。
生活習慣と食事療法
舌痛症改善のための生活指導
1. ストレス管理
- 深呼吸法の実践
- 適度な運動
- 十分な睡眠時間の確保
2. 食事療法
- 刺激物の制限(辛い物、酸っぱい物)
- 口腔内の保湿
- 亜鉛・ビタミンB群の補給
3. 口腔ケア
- 口腔内の清潔保持
- 適切な歯科治療
- 義歯の調整
治療期間と効果について
改善までの期間
舌の状態、症状に応じて適切な漢方薬を服用しますが、短期間では効果が得られないこともあり、多くは1〜3ヶ月ほど、長いときは1年ほど服用します。また、他の治療とあわせておこなうこともあります。根気よく治療を続けていくことが大切です。
治療成功率
京都大学、金沢医科大学の研究グループの調査では、舌痛症の患者さん(120人)に投与したところ88.7%の人に効果がありました。
研究データから見ても、東洋医学治療の有効性は高く評価されています。
まとめ:舌痛症は東洋医学で改善できる
舌痛症は西洋医学では「原因不明」とされがちですが、東洋医学では以下の特徴を持つ治療可能な疾患です:
東洋医学治療の優位性
- 根本原因へのアプローチ
- 全身のバランス調整
- 体質改善による根本治療
- 多角的な治療法
- 漢方薬による内治
- 鍼灸による経絡調整
- 生活指導による予防
- 高い改善率
- 臨床研究で88.7%の有効率
- 3週間で改善する例も
- 副作用の少なさ
- 自然治癒力を活用
- 身体に優しい治療
治療を受ける際のポイント
- 早期治療開始:症状が軽いうちに始める
- 継続治療:1〜3ヶ月は根気よく続ける
- 生活改善:ストレス管理と食事療法の併用
- 専門医選択:東洋医学に精通した治療院を選ぶ
舌痛症でお悩みの方は、一人で抱え込まずに東洋医学専門の治療院にご相談ください。原因不明と言われた症状でも、適切な東洋医学治療により多くの方が改善されています。
この記事が舌痛症でお悩みの方の治療選択の参考になれば幸いです。症状が気になる方は、お近くの漢方専門医や鍼灸院にご相談することをお勧めします。
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