三叉神経痛と鍼灸治療の可能性|神経内科認定鍼灸師が解説

三叉神経痛と鍼灸治療の可能性|神経内科認定鍼灸師が解説

はじめに:三叉神経痛の苦しさを理解しています

「歯を磨くだけで激痛が走る」「冷たい風が当たるだけで顔に電気が走るような痛みが…」
三叉神経痛は、ただの顔の痛みではなく、日常生活に大きな支障をきたす難治性の神経痛です。痛みは突如として訪れ、まるで電撃が走るような激烈な症状が、ほんのわずかな刺激で引き起こされることが少なくありません。日々の食事、洗顔、会話など、誰もが当たり前に行っている行為が、恐怖と苦痛の対象になってしまう。それが三叉神経痛という病気の本質です。

多くの患者さんは、強い薬や神経を切断するような手術に頼らざるを得ないと感じていますが、それらに対して強い抵抗感や不安を抱いている方も少なくありません。副作用、術後の合併症、長期的な影響を考えたとき、もっと体にやさしい治療を求める声が確実に高まっています。

そんな中、注目されているのが鍼灸治療です。副作用が少なく、体全体のバランスを整えながら自然治癒力を引き出す東洋医学的アプローチは、現代医学と補完しあう存在として、近年再評価が進んでいます。

この記事では、神経内科にも精通した認定鍼灸師の視点から、三叉神経痛に対する鍼灸治療の可能性を、医学的な根拠とともにわかりやすく丁寧に解説していきます。

「薬が効かない」「副作用がつらい」「再発が不安」「もっと根本的な改善を目指したい」——そんな方にこそ、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

第1章:三叉神経痛とは何か?原因と症状をやさしく解説

三叉神経は、顔面の感覚を司る重要な神経で、脳神経のうちの第5番目にあたります。眼神経・上顎神経・下顎神経の3つの枝に分かれ、それぞれが額、頬、顎に分布して感覚を伝えています。

三叉神経痛は、これらの神経が何らかの原因で刺激され、突発的かつ強烈な顔面の痛みを引き起こす疾患です。痛みは「電気が走るような鋭い痛み」「針で刺されるような痛み」と表現され、数秒から数十秒続きます。多くの場合は片側だけに起こり、数日〜数週間にわたって繰り返されることがあります。

痛みを誘発する引き金(トリガー)は非常に些細なもので、洗顔、歯磨き、食事、会話、風が当たるといった日常的な動作で誘発されることがあります。このため、患者さんは日常生活そのものを恐れ、社会的な活動や家庭内での行動にも支障をきたすことがあります。

三叉神経痛の主な原因は、神経の根元を走る血管による圧迫です。脳内で三叉神経が血管により持続的に押されることで、神経の絶縁構造(髄鞘)が破壊され、神経が過敏になり痛みを発するようになります。これが「典型的三叉神経痛」です。

一方、帯状疱疹後神経痛や多発性硬化症などによる「非典型的三叉神経痛」も存在し、こちらは持続的で焼けるような痛みを特徴とします。後者の場合、診断・治療に時間がかかることも少なくありません。

このように三叉神経痛にはいくつかのタイプがあり、それぞれに適した対応が求められます。いずれにしても、痛みの原因が神経の局所的な問題にとどまらず、血流障害、自律神経の不調、姿勢の崩れなど、全身のバランスの乱れと関係していることが多く、東洋医学的な視点からのアプローチが注目されています。

第2章:一般的な治療法の限界と課題

三叉神経痛の一般的な治療法としては、主に薬物療法、神経ブロック、そして外科的手術の3つが挙げられます。特にカルバマゼピンやガバペンチンなどの抗けいれん薬は、神経の異常興奮を抑える作用があるため、第一選択薬として広く使用されています。これらは多くの患者に有効とされていますが、その一方で、副作用や効果の減弱といった課題も存在します。

副作用としては、眠気、ふらつき、めまい、消化器症状、肝機能障害などが報告されており、特に高齢者や基礎疾患を持つ方では使用が制限されることもあります。また、長期間服用することで耐性が生じたり、日常生活に支障をきたすレベルでの副作用に悩まされることも少なくありません。さらに、薬が効かなくなる「難治性三叉神経痛」も一定の割合で存在します。

次に行われるのが神経ブロック療法です。これは、局所麻酔薬などを用いて神経の伝達を一時的に遮断し、痛みを抑える方法です。即効性が期待できる一方で、効果の持続時間には限りがあり、定期的な施術が必要となることが多いです。また、神経に直接薬剤を投与するため、感染や出血、神経損傷のリスクも伴います。

さらに、手術療法として代表的なのが「微小血管減圧術(MVD)」です。これは、三叉神経を圧迫している血管を外科的に移動させることで圧迫を解消する方法です。MVDは、根本的な原因を取り除く点で有効とされ、多くの患者で劇的な効果を示すことがあります。しかし、脳神経外科手術という高い侵襲を伴うため、高齢者や全身状態の悪い方には適応しづらく、また手術後の再発や合併症(顔面のしびれ、聴力低下、麻痺など)のリスクもゼロではありません。

これらの治療は医学的根拠に基づいた正当な手段ですが、「薬が合わない」「手術は怖い」「ブロック注射も一時しのぎに感じる」など、患者のニーズにすべて応えきれていない現実があります。そのような背景のなか、もっと体に優しく、継続可能で、全身的な視点からアプローチできる治療法として、鍼灸治療があらためて見直されているのです。

鍼灸は「痛みの原因を外から抑え込む」ものではなく、「体の内側の働きを整えて、痛みを起こしにくい状態をつくる」ことを目的としています。だからこそ、再発の多い三叉神経痛に対しても、予防と体質改善という観点から、大きな可能性を秘めているのです。

第3章:鍼灸治療の理論とアプローチ

鍼灸治療では、西洋医学とは異なるアプローチを用いて、三叉神経痛に対する根本的な改善を目指します。その基本的な考え方は、「体全体のバランスを整え、気血の巡りを改善することで、痛みの原因となる滞りや炎症を取り除く」というものです。

まず注目すべきは、経絡理論に基づく施術です。三叉神経に対応する経絡には「大腸経」「胃経」「小腸経」などがあり、これらの経絡上にあるツボに鍼を打つことで、気の流れを整えます。結果として神経の興奮を鎮め、血流を促進し、炎症を抑えることが可能になります。

さらに、局所と遠隔の治療の併用も鍼灸の特徴です。顔の痛む部位だけでなく、手や足にある関連するツボ(例:合谷、足三里など)にも刺激を加えることで、自律神経系や中枢神経系を通じて、全身的な痛みのコントロールが図られます。これにより、神経痛だけでなく、冷えや肩こり、消化器の不調など全身症状も同時に整えることができるのです。

西洋医学的にも、鍼には以下のような効果があるとされます:

  • エンドルフィンやセロトニンなど、脳内の鎮痛物質の分泌を促進する
  • 交感神経の緊張を緩和し、筋肉のこわばりを取り除く
  • 局所の血流を改善し、炎症の原因物質を排出しやすくする
  • 脳と脊髄レベルでの痛みの伝達抑制効果(下行性疼痛抑制系の活性化)

また、現代の鍼灸治療では電気鍼温熱療法を組み合わせることで、刺激の深さと持続性を高めることができます。これにより、慢性的な痛みや深部の神経へのアプローチが可能となり、治療効果がより一層高まることが臨床で確認されています。

加えて、最近では神経リリース的な観点を取り入れた施術が注目されており、筋膜や軟部組織の滑走性を改善することで、神経への物理的ストレスを取り除くといったアプローチもなされています。これは、鍼が単に刺激を与えるだけではなく、構造的な解放を促す手段としても活用できることを意味しています。

このように、鍼灸は単に「痛むところに鍼を刺す」治療ではなく、全身の状態を見極めた上で施術を行う、非常に奥深い医療です。だからこそ、三叉神経痛のような複雑で難治性の高い症状にも対応できる可能性があるのです。

第4章:臨床での効果と症例紹介

鍼灸治療が三叉神経痛にどのように効果を発揮するかは、実際の臨床例を見ることでより理解が深まります。ここでは、私たちの治療現場で見られた複数の症例をもとに、鍼灸の具体的な効果と患者の声を紹介します。

ある50代女性は、右頬部に突発的な痛みを訴えて来院されました。冷風や歯磨き時に激痛が走る状態が数ヶ月続いており、薬も効きにくくなっていました。初回の鍼灸治療では、顔面のツボに加えて手足の経穴(合谷や太衝など)も使用し、全身の気血の流れを整えることを目的としました。その結果、3回目の治療後には痛みの頻度が半減し、2週間後には痛みのない日も出てくるようになりました。

また、別の症例では、手術後に再発した三叉神経痛に対して鍼灸を併用した結果、慢性的な痛みの程度が大幅に軽減し、睡眠の質まで改善されたという報告もあります。こうしたケースでは、痛みの原因が神経の物理的な問題だけでなく、自律神経の乱れや筋肉の過緊張にもあることが確認されました。

他にも、30代男性がデスクワーク中に痛みを感じるようになり、MRIでは異常が見つからなかったため、ストレスや姿勢の問題が疑われました。この方には首肩の筋緊張を緩める施術に加えて、心理的ストレスに配慮した治療計画を提案した結果、1ヶ月で痛みの回数が半減。以後もメンテナンス的に通院を継続されています。

患者さんからは次のような感想も寄せられています:

  • 「これまで怖くて口が開けられなかったのに、痛みを気にせず会話ができるようになった」
  • 「副作用がなく、薬を減らせたことがとてもありがたい」
  • 「顔だけでなく首や肩もほぐれて、体全体が軽くなった」
  • 「一人で悩んでいたが、相談できる場所ができて安心した」

鍼灸治療は、神経痛そのものへの直接的なアプローチに加え、生活の質(QOL)を高めるという側面でも大きな役割を果たしています。体調全般の改善を実感する患者も多く、継続的なケアとして鍼灸を取り入れることで、長期的な痛みの予防や管理にもつながっていきます。

このような実例が示すように、鍼灸は三叉神経痛の“対症療法”にとどまらず、より広い視点で体を整える医療として大きな可能性を秘めているのです。

第5章:治療に使用する技術と検査機器

近年の鍼灸治療では、従来の手法に加えて最新の医療機器を組み合わせることで、より正確で効果的な施術が行えるようになっています。三叉神経痛のような複雑で繊細な神経疾患に対しては、「どこが本当に悪いのか」「どうアプローチすれば最も効果的か」を明確にするための検査と技術が重要です。

たとえば、**スーパーライザー(近赤外線治療器)**は、交感神経節の一つである「星状神経節」や「上頚神経節」に対して、非侵襲的に温熱刺激を与えることができる装置です。これにより、自律神経のバランスを整え、顔面への血流を改善する効果が期待できます。三叉神経痛の背景には交感神経緊張が関与しているケースが多く、この機器を併用することで治療効果を高めることが可能です。

また、**エコー機器(超音波診断装置)**を使用すれば、筋肉や血管の状態をリアルタイムで確認しながら鍼を打つことができます。これにより、安全性が飛躍的に高まり、神経や血管への不要な刺激を避けることができます。特に、顔面や頚部の構造が複雑な部位では、エコー下での施術が安心感と精度をもたらします。

さらに、**サーモグラフィー(赤外線体温画像装置)**を用いることで、顔や頚部、手足などの表面温度の分布から、血流の偏りや神経活動の左右差を視覚的に把握することができます。これらの画像は、痛みの部位や自律神経の異常を示す手がかりとなり、施術部位の決定や経過観察に非常に有効です。

**重心動揺検査(バランステスト)自律神経機能検査(心拍変動測定など)**を取り入れている鍼灸院もあり、神経系全体の働きや、体のバランスの乱れを科学的に把握したうえで施術計画を立てることができます。これにより、「なんとなく痛い」ではなく、「何が原因で、どこに負担がかかっているのか」が明確になり、治療の精度が向上します。

また、視覚的な変化を患者自身が確認できることは、治療のモチベーションを高める意味でも非常に重要です。痛みは数値化しづらい主観的な症状ですが、サーモ画像やエコーの映像で「冷えていた部分の温度が上がっている」「筋肉の硬さが取れている」などの客観的な変化を見ることができれば、患者さんは治療効果を納得しやすくなります。

このように、現代の鍼灸治療は単なる経験や勘だけに頼るのではなく、医学的根拠と客観的データに基づいた施術が可能になってきています。特に神経疾患の治療では、「症状の原因を可視化し、個別に最適な治療を行う」という姿勢が、患者の安心と効果の向上につながるのです。

伝統と先端医療の融合——それが、三叉神経痛に対する鍼灸治療の大きな進化のひとつです。

第6章:鍼灸治療の流れと施術の実際

三叉神経痛の鍼灸治療では、患者さん一人ひとりの状態に合わせて施術計画を立てることが何より重要です。そのため、初回は特に時間をかけて、丁寧な問診と全身状態の評価を行います。

初診では、痛みの性質(鋭い、焼けるような、電気が走るような)、発作の頻度、引き金となる動作、過去の治療歴や服用中の薬剤、生活スタイルなどを詳しく確認します。同時に、顔だけでなく、首・肩・背中・下肢に至るまでの筋肉や姿勢の状態、血流の偏り、自律神経バランスの乱れなどを多角的にチェックします。

そのうえで、施術に入ります。施術は一般的に以下の流れで行われます:

  1. 顔面部のツボへの施術:痛みの出やすい部位や三叉神経の分布に対応した経絡(例えば大腸経・胃経・小腸経など)上のツボに、細くやさしい鍼を刺入します。
  2. 頸部・肩・背中の施術:神経の出発点や緊張しやすい筋群を緩めることで、神経の圧迫や血行不良を改善します。
  3. 四肢への遠隔刺激:合谷、太衝、足三里などのツボを活用し、自律神経系・免疫系への影響を通して全身的な調整を行います。
  4. 必要に応じて電気鍼・温熱刺激を併用:刺激量を調整し、深部までアプローチします。
  5. スーパーライザー照射やエコー観察を併用:必要に応じて、上頚神経節や星状神経節への照射を行い、痛みの根本にアプローチします。

1回の施術時間は約40~60分。症状の程度や体力に応じて調整されます。施術後は、体が温かくなる、呼吸が楽になる、眠気を感じるといった反応がよく見られますが、これは鍼灸により副交感神経が優位になった証拠です。

治療の頻度としては、最初の2~4週間は週1~2回を目安に行い、改善が見られれば間隔を空けていきます。多くの方が5~10回程度で痛みの緩和を感じはじめ、継続的なメンテナンスを希望されることもあります。

また、施術後には、再発予防のための生活習慣指導やストレッチ・姿勢改善のアドバイスも行います。鍼灸治療は、単なる対症療法ではなく、患者自身が健康を取り戻すためのパートナーとしての役割も担っているのです。

さらに、施術の経過は逐一記録され、必要に応じてサーモグラフィーやバランステストなどの再検査を行うことで、客観的に改善のプロセスを把握できるようになっています。これにより、患者さんも納得しながら治療を進められ、信頼関係の構築にもつながっています。

このように、三叉神経痛に対する鍼灸治療は、単に「痛いところに鍼を打つ」だけではなく、全身状態を的確に評価し、根本からの改善を目指す“包括的な治療”であることがわかります。

第7章:こんな方に鍼灸治療はおすすめ

三叉神経痛に対する鍼灸治療は、すべての患者にとって万能ではありませんが、特に以下のような方には非常に適していると考えられます。

まず第一に、薬の副作用で日常生活に支障が出ている方です。たとえば抗けいれん薬や鎮痛薬による眠気・ふらつき・肝機能障害・便秘などに悩んでいる場合、鍼灸は薬に頼らずに痛みを緩和する選択肢として大きな意味があります。特に高齢者では、薬の影響が日常生活に直結するため、体への負担が少ない鍼灸の重要性はさらに増します。

次に、手術を避けたい方や、すでに手術を受けたが再発してしまった方にも鍼灸は効果を期待できます。血管圧迫が原因の三叉神経痛では、術後に再び血管が神経に接触するケースもあり、その場合には神経周囲の筋緊張や自律神経のバランスの崩れが再発要因となっていることがあります。鍼灸ではこうした体全体の不調にアプローチできます。

さらに、高齢者や複数の持病をお持ちの方も対象となります。高齢の方ほど薬物療法や手術のリスクが高まりますが、鍼灸は身体への負担が少ないため、安全に施術を受けることが可能です。血圧や血糖値の管理にも影響する場合があるため、全身調整を目的とした治療を望まれる方にとって有益です。

また、長年痛みに悩み、心身ともに疲れてしまった方にも、鍼灸治療はおすすめです。三叉神経痛に限らず、慢性疼痛に苦しむ方はストレスや不安によって交感神経が過剰に働いていることが多く、それがさらに痛みを悪化させる悪循環に陥っているケースが見られます。鍼灸では、リラックス反応を引き出すことで心身のバランスを整え、痛みに対する耐性を高めていきます。

精神的な不安や孤独感が強い方も、鍼灸のカウンセリングを通じて症状が軽減されることがあります。鍼灸師との対話のなかで「わかってもらえた」「話を聞いてもらえた」と安心することが、自律神経の安定や筋緊張の緩和に直接つながるのです。

さらに、他の治療との併用を希望する方にも適しています。たとえば薬物療法を継続しつつ、鍼灸を併用することで薬の使用量を減らしたり、副作用を抑えたりすることが可能です。東洋医学と西洋医学の「いいとこ取り」をした治療スタイルが実現できるのも、鍼灸ならではの魅力です。

このように、鍼灸は「まだ試していない選択肢」ではなく、「これからの再発予防・体質改善を目指す総合的なケア」として、大きな可能性を秘めているのです。

第8章:治療費用と注意点

鍼灸治療は、三叉神経痛の痛みを和らげる有効な選択肢として注目されていますが、治療を始める前に費用面や制度の違いについて理解しておくことが重要です。

まず、鍼灸は基本的に**自由診療(自費診療)**となります。そのため、治療費は保険診療と異なり医療機関ごとに大きく異なることがあります。全国的な平均としては、

  • 初診時検査料:15,000円前後
  • 1回あたりの施術費:6,000~25,000円(治療範囲により)
  • 再診料・検査費用(サーモグラフィー・エコーなど):別途必要な場合あり

また、症状の程度や治療方針に応じて、10回〜15回ほどの通院が推奨されることも多いため、1クールで10万〜15万円前後を見込んでおくと安心です。特に、神経疾患に精通した鍼灸院では、検査機器や特別な施術技術を組み合わせることが多く、費用はやや高めになる傾向があります。

ただし、例外的に、医師の同意書がある場合に限って保険適用されるケースもあります。これは「療養費支給制度」と呼ばれる仕組みによるもので、医師が「はり・きゅうによる施術が適当である」と認めた場合、一定の条件下で健康保険が適用されます。手続きには医師の診断書や保険者への申請が必要となるため、詳しくは通院先の鍼灸院に相談することをおすすめします。

また、治療を受ける際は、以下のような点にも注意が必要です:

  • 過剰な広告に注意する:即効性や100%の完治をうたう広告には注意が必要です。痛みの軽減や体質改善には個人差があり、適切な評価と継続が前提です。
  • 衛生管理の徹底された施設を選ぶ:ディスポーザブル鍼(使い捨て鍼)を使用しているか、清潔な施術環境が保たれているかを確認しましょう。
  • カウンセリングと説明が丁寧な治療院を選ぶ:問診や説明にしっかり時間をかけてくれる治療院は信頼できます。あなたの状態に応じた治療計画を立ててくれることが大切です。

さらに、費用だけにとらわれず、治療の質や相性も重要な判断基準です。高額でも、適切な検査・施術・指導が受けられる鍼灸院では、結果としてコストパフォーマンスが高くなります。

不安な方は、初回カウンセリングやトライアル施術などを用意している鍼灸院を選び、納得した上で継続することが大切です。また、複数の治療院を比較し、自分に合った場所を見つけることも再発予防を含めた長期的な視点での治療成功に直結します。

費用面は決して小さな問題ではありませんが、「安全で信頼できる治療」「効果を実感できる施術」「安心して通える環境」という3つの軸で治療院を選ぶことが、結果的に最もコストパフォーマンスの高い選択となるはずです。

第9章:再発を防ぐために大切なこと

三叉神経痛は、たとえ一時的に症状が落ち着いても、生活環境の変化や体調不良、ストレス、気温の急激な変化などをきっかけに再発することがあります。そのため、症状が和らいだあとも油断せず、再発を防ぐための習慣づくりがとても大切です。

まず大切なのは、体の冷えを防ぐことです。三叉神経痛の発作は、冷たい風や気温差が引き金になるケースが多く見られます。季節の変わり目や冬場には特に、マフラーやマスクなどで顔や首元を冷やさないよう工夫しましょう。顔だけでなく、首・肩・背中を冷やさないことも重要です。自宅では加湿や室温管理を意識し、外出時には防寒対策を徹底しましょう。

また、噛みしめ癖や歯ぎしりの改善も再発防止には欠かせません。顎関節の緊張が三叉神経の圧迫や刺激につながるため、就寝中のマウスピース使用や、日中の無意識な食いしばりへの注意が必要です。歯科との連携を図ることも大きな助けになります。ガムの咀嚼や片側だけでの咀嚼癖など、日常のクセを見直すことも効果的です。

さらに、ストレスマネジメントも忘れてはなりません。慢性的なストレスは自律神経を乱し、交感神経が優位な状態を長引かせることで痛みの閾値を下げてしまいます。リラクゼーション、瞑想、適度な運動、趣味の時間を大切にすることなど、自分なりのストレス対処法を日常生活に取り入れることが有効です。

現代人に多いのが、無意識のうちに「常に緊張状態」に陥っていることです。パソコンやスマホ作業が続くと、顔や肩まわりの筋肉が硬直し、結果として三叉神経に圧がかかる状態になります。定期的なストレッチ、軽い散歩、深呼吸などを習慣づけることも重要です。

加えて、姿勢の見直しや運動習慣も再発予防に寄与します。特にデスクワークが中心の方は、長時間同じ姿勢で過ごすことにより、頚部や背中、肩甲骨周囲の筋肉が硬くなり、神経や血流に悪影響を及ぼします。定期的なストレッチや軽い運動、正しい座り方を意識することで、日常生活のなかでも予防が可能です。

そして最後に、定期的なメンテナンス治療の継続がとても効果的です。痛みが落ち着いたあとも、月1回程度の鍼灸治療を受けることで、神経系・血流・自律神経バランスを整え、再発を防ぐ体内環境を保ちやすくなります。気候の変化が大きい時期や生活のストレスが増すタイミングに合わせて通院頻度を調整することも有効です。

三叉神経痛と上手につきあっていくには、日々の積み重ねがカギとなります。鍼灸治療による「整える力」と、生活習慣による「支える力」を両立させることが、症状の安定と再発予防につながるのです。

第10章:最後に – 痛みから解放される未来のために

三叉神経痛は、見た目では分かりづらく、他人に理解されにくい苦しみを伴う病気です。ときにその痛みは耐え難く、生活そのものに影を落とすことさえあります。「どうして自分だけがこんなに痛むのか」「誰にもわかってもらえない」と孤独を感じている方も多いでしょう。

しかし、あなたのその痛みには、医学的にも解決策が存在しています。そしてその一つとして、鍼灸治療という選択肢があるのです。

鍼灸は、神経の過敏な反応を抑え、血流を改善し、自律神経のバランスを整えるという、体の内側からじっくり整えていく治療法です。即効性だけを求める治療ではないかもしれませんが、長期的にみれば、「再発しにくい身体づくり」という根本的な対処ができる大きな利点があります。

また、鍼灸は単なる技術ではなく、患者さん一人ひとりに寄り添いながら、心身のつらさに耳を傾けてくれる治療者との“対話の医療”でもあります。問診・施術・生活指導を通して、患者さん自身が自分の身体と向き合うきっかけになり、「どうすればよくなるか」を一緒に考えてくれる存在なのです。

西洋医学との併用も可能で、薬を減らしたい方、副作用に悩む方、手術の選択に迷っている方にとっても、身体にやさしく柔軟な対応ができる鍼灸は、非常に心強いパートナーになります。

さらに、鍼灸は予防医療としての側面も大きく評価されています。痛みが治まった後も、体質や生活習慣の改善を通じて、再発しにくい体づくりができることは、他の治療にはない魅力です。月1回のメンテナンス施術で体調を安定させている方も少なくありません。

「痛みは必ずしもすぐに消えるものではない」「けれども、少しずつ良くなる道がある」——その確かな実感を、多くの患者さんが鍼灸治療を通して得ています。

いま、痛みで苦しんでいるあなたも、決して一人ではありません。確かな知識と経験をもった鍼灸師が、あなたの回復をともに目指してくれます。ぜひ一度、専門的な相談を受けてみてください。

鍼灸は、あなただけの「快方への道筋」を見つけるための、一つの強力な手段となるはずです。今この瞬間から、痛みのない未来に向けて、新たな一歩を踏み出しましょう。

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Profile

耳鼻咽喉科 認定鍼灸師 / 吉池 くるみ

癒しオーラをまといながら、的確な説明で日々患者さんからの信頼を獲得している。 趣味のゲームで培った手先の器用さで、オージオメータや医療用サーモグラフィなどの検査機器を華麗に使いこなす。 自らが飛行機内で耳管機能不全を発症し、看護師さんに助けられた経験から、耳鼻科疾患の鍼治療を専門に取り組んでいる。

耳鼻咽喉科 認定鍼灸師 / 吉池 くるみ