
ある日突然、顔の半分が動かなくなり、耳の奥に激しい痛みが走る。鏡を見ると、耳の周りに赤い発疹や水ぶくれが…。それに加え、めまいや難聴まで。
もしあなたがこのような症状で「ハント症候群」と診断されたなら、顔面神経麻痺の中でも特に症状が強く、治りにくいタイプであるため、非常に大きな不安と恐怖を感じていらっしゃることでしょう。
「この麻痺は本当に治るのだろうか?」
「病院の薬を飲んだけけれど、一向に良くならない…」
この記事は、そのような切実な悩みを抱えるあなたのために書きました。
長野県須坂市で40年以上にわたり、72,000人以上の「病院の標準治療では改善しなかった患者さん」を専門に診てきた経験に基づき、ハント症候群の正しい知識、そしてなぜあなたの症状が思うように回復しないのか、その根本的な原因と「次の一手」について詳しく解説します。
※出典 顔面神経麻痺診察ガイドライン(2023年版)
顔面神経麻痺診療の手引き(2011年版)
顔面神経麻痺が起きたらすぐに読む本
ハント症候群とは? – ベル麻痺との重大な違い
ハント症候群は、顔面神経麻痺の中でも特に重症化しやすく、後遺症が残りやすい厄介なタイプです。顔面神経麻痺で最も多い「ベル麻痺」としばしば混同されますが、その原因と症状には決定的な違いがあります。

ハント症候群は、ウイルスによる神経への攻撃性が非常に強く、麻痺の程度が重くなりやすいのが特徴です。そのため、ベル麻痺と同じように考えてはいけません。
ハント症候群の本当の原因 – なぜあなたの顔と耳を襲うのか
ハント症候群の原因は、多くの人が子供の頃にかかる「水ぼうそう」のウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)です。
《ウイルスの潜伏と再活性化》
水ぼうそうが治った後もウイルスは体から消え去るわけではなく、顔面神経の付け根にある「膝神経節(しつしんけいせつ)」という神経の司令塔のような場所に、何十年も静かに潜伏しています。そして、過労や強いストレスなどで体の免疫力が低下した時、この眠っていたウイルスが再び暴れ出します(再活性化)。
《麻痺とめまいが起こる仕組み》
再活性化したウイルスは、神経節で激しい炎症を起こし、神経をパンパンに腫れさせます。顔面神経は頭蓋骨の中の狭い骨のトンネル(顔面神経管)を通っているため、腫れ上がった神経はこのトンネルに圧迫されて血流が滞り、深刻なダメージを受けて麻痺が起こるのです。さらに、炎症が隣接する内耳の神経(聴神経)にまで及ぶと、難聴やめまいといった症状も引き起こされます。
このように、ハント症候群はウイルスによる神経の炎症と、それに伴う圧迫という二重のダメージによって引き起こされます。だからこそ、一刻も早い専門的な治療が不可欠なのです。
ハント症候群になりやすい人とは?

水ぼうそうにかかったことがある人なら誰でも発症する可能性がありますが、特に20代と50代に発症のピークがあるとされています。また、過労やストレスなどで免疫力が低下している状態は、ウイルスが再活性化する大きな引き金となります。
もし、ご自身がハント症候群の症状に気づいたら、ためらうことなく専門医を受診することが重要です。病院では通常、以下のような診断と治療が行われます。
病院での標準治療と、もし効かなかった場合
もしハント症候群の症状に気づいたら、一刻も早く耳鼻咽喉科を受診してください。
・標準治療
治療の基本は、ウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス薬」と、神経の炎症と腫れを強力に抑える「ステロイド薬」の2つを併用する薬物療法です。この治療は、麻痺の発症からできるだけ早く、理想的には3日以内に開始しなければなりません。 治療開始が遅れると、治癒率が著しく低下することが報告されています。
・もし標準治療で改善しない場合
ハント症候群は症状が重いため、薬物治療だけでは回復が難しい場合があります。その場合、麻痺の重症度に応じて、高用量のステロイド投与や、耳の中に直接ステロイドを注入する「ステロイド鼓室内投与」、神経の圧迫を取り除く「顔面神経減荷術」という手術などが検討されることがあります。
しかし、これほど重要な初期治療を迅速に受けたにもかかわらず、思うような回復が見られずに悩んでいる方が少なくないのも、ハント症候群の難しいところです。
後遺症が心と体に与える影響と、ご自身でできるケア
顔が思うように動かないという状態は、身体的な不自由さだけでなく、心にも大きな影を落とします。また、麻痺に伴って注意すべき大切なケアもあります。
心への影響 – 一人で抱え込まないで
の表情は、人とコミュニケーションをとる上で非常に重要な役割を果たします。そのため、麻痺によって自然な笑顔が作れなくなると、人との交流に無用な誤解が生まれたり、それが原因で強いストレスを感じたりすることがあります 。結果として、対人関係に消極的になり、引きこもりがちになってしまう患者さんも少なくありません 。
ハント症候群は命に関わる病気ではありませんが、です 。どうか一人で抱え込まず、信頼できるご家族や専門家にご自身の気持ちを話してみてください。
目の保護 – 角膜を守るための大切な習慣
顔面神経麻痺になると、まぶたが完全に閉じられなくなることがあります 。この状態が続くと、目が乾燥したり、ホコリが入りやすくなったりして、目の表面(角膜)が傷ついてしまう危険性があります 。
角膜を守るため、日常生活で以下のことを心がけましょう。
・点眼剤(目薬)を定期的に使用する
・乾燥やホコリから目を守るため、保護メガネや眼帯を着用する
なぜ標準治療でも治らないのか? – 回復を妨げる根本原因
「すぐに病院へ行って薬も飲んだ。なのに、なぜ一向に良くならないんだ…」
これは、当院に来られる患者さんが一様に口にされる、切実な心の叫びです。
標準治療はウイルスと炎症を抑える上で非常に重要ですが、それだけでは回復のスイッチが完全に入らない方がいるのも事実です。私たちは40年間、そのような悩みを抱えた患者さんたちを診察する中で、回復が滞る方にはお体のある共通点があることを見出しました。
それは、顔面の問題だけでなく、全身の「治ろうとする力(自然治癒力)」そのものが低下しているということです。
そのサインとして、多くの方に自律神経の乱れが見られ、体の表面温度、特に「第二の心臓」とも呼ばれるふくらはぎの温度が著しく低下しています。これらは、体の隅々まで血液を巡らせ、傷ついた神経を修復するためのエネルギーが不足している状態を示しているのです。
当院の独自アプローチ -「顔」だけでなく「体」を診る
標準治療で改善が見られない場合、私たちは「顔」だけを診るのではなく、なぜあなたの自然治癒力が十分に働いていないのか、その根本原因にアプローチします。
◆当院独自の検査法:サーモグラフィ◆
病院で行う「ENoG(誘発筋電図検査)」は、神経の反応から麻痺の深さを測る検査です。これに対し当院では、医療用のサーモグラフィを用いて、麻痺した表情筋の「血流状態」を温度として画像で捉えます。これにより、神経のダメージだけでなく、回復に必要な血液がどれだけ滞っているのかを客観的に把握し、より的確な治療に繋げています。
●このようなことでお悩みなら、諦めないでください●
私たちは、標準治療を終えてもなお、深いお悩みを抱えた方々のための「最後の砦」です。

- 耳鼻咽喉科での治療は終わったが、麻痺が全く改善しない
- 発症から3ヶ月以上経ち、後遺症(病的共同運動や顔面拘縮)が出始めた
- 糖尿病の持病があり、治りが悪いのではないかと心配している
- 形成外科の手術後に、顔の硬さや引きつれが気になる
- (特に若い女性などで)美容的な観点から、以前のような自然な笑顔をどうしても取り戻したい
もしあなたが一つでも当てはまるなら、一人で悩み続けないでください。
ハント症候群は、顔面神経麻痺の中でも特に手強く、早期の薬物治療が絶対に重要な病気です。しかし、それでも回復が思わしくない場合、それはあなたの体が「治るための力」を十分に発揮できていないサインかもしれません。
改善への道は、決して一つではありません。顔だけでなく、あなたの体全体が持つ「治ろうとする力」に目を向けることで、新たな希望の光が見えることがあります。
あなたの不安が少しでも和らぎ、心からの笑顔を取り戻すための一歩を踏み出すお手伝いができれば、これほど嬉しいことはありません。
当院の「ラムゼイ・ハント症候群」に対する鍼灸治療の詳しい取り組みや、後遺症のリスクを抑えるためのアプローチについては、下記の専門ページで詳しく解説しています。
→ 【ラムゼイ・ハント症候群】鍼灸治療専門ページ はこちら
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