
はじめに
「突発性難聴と診断され、『入院しますか?』と聞かれたけど、どうすればいいか分からない」
「入院したかったけど、ベッドが空いていないと断られてしまった…」
突発性難聴と診断され、ただでさえ不安な中、入院について判断を迫られたり、希望通りにならなかったりして、途方に暮れてしまう方は少なくありません。
突発性難聴は「放っておくと治る」と思われがちですが、重症の場合やめまいを伴う場合では、入院治療が必要になることがあります。
入院では、ステロイド点滴や安静、血流改善を集中的に行い、体の回復力を最大限に引き出すことができます。特に糖尿病の方や高齢者では、副作用管理のためにも入院が勧められます。
この記事では、突発性難聴でなぜ入院が必要になるのか、医学的な情報とこれまでの多くの患者さんを診てきた経験から、その理由を分かりやすく解説します。
もし、あなたが今、どうすれば良いか分からず悩んでいるのなら、この記事がきっと回復への大切なヒントになるはずです。
突発性難聴のより詳しい原因や症状については、以下のページで網羅的に解説しています。
→ 突発性難聴とは?原因から治療法までを専門家が解説
※出典 全日本病院出版会 ENTONI No.183 「突発性難聴update」
厚生省急性高度難聴調査研究班「突発性難聴診断の手引き」
突発性難聴の「重症度」が入院を判断する一つの目安
突発性難聴と診断されたら、まずご自身の「重症度」を知ることが大切です。なぜなら、この重症度によって、入院が必要かどうかの判断がされることが多いからです。
◆軽症と重症の違いは「聞こえにくさのレベル」
突発性難聴の重症度は、主に「聴力検査」でわかります。具体的には、いくつかの周波数(音の高さ)の音をどれくらい小さい音まで聞き取れるかを調べ、その平均値(平均聴力レベル)で判断します。
- 軽症(Grade 1):
平均聴力レベルが40dB(デシベル)未満の、比較的軽いきこえにくさです。この場合、外来での通院治療が選択されることが一般的です。 - 重症:
平均聴力レベルが40dB以上の、より強きこえにくさです。数字が大きくなるほど重症で、Grade 4といったさらに重い分類もあります。このレベルになると、入院治療を勧められることが多くなります。
◆40dBってどのくらいの聞こえにくさ?
「40dB」と言われても、ピンとこないかもしれませんね。これは「静かな場所でのささやき声や小声が聞こえにくい」くらいのレベルです。日常の会話は聞こえても、少し離れた場所からの呼びかけに気づかなかったり、聞き返すことが増えたりします。
◆「めまい」の有無も重要なサイン
もう一つ、重症度を判断する大切なサインが「めまい」です。グルグル回るような激しいめまいを伴う突発性難聴は、めまいがない場合に比べて、残念ながら聴力が回復しにくい傾向があることが分かっています。めまいがある場合は、より安静が必要な重い状態である可能性が高いと言えます。
なぜ入院が必要なの?3つの大切な理由

では、なぜ重症の突発性難聴では入院が勧められるのでしょうか。それには、回復のために非常に大切な3つの理由があります。
理由①:とにかく安静にして、体を徹底的に休ませるため
突発性難聴の治療で最も大切なことは「安静」です。
しかし、ご自宅で「安静にしてください」と言われても、つい家事や仕事のことが気になって動いてしまったり、ご家族の生活音が気になってしまったりと、心から体を休めるのは難しいものです。
突発性難聴を発症する方は、責任感が強く、無意識のうちに頑張りすぎてしまう傾向があります。このような状態が続くと、体を緊張させる「交感神経」が常に優位になり、血管が収縮して耳への血流が悪くなってしまいます。
入院は、こうした日常の雑務やストレスから強制的に離れ、体をリラックスさせる「副交感神経」のスイッチを入れるための大切な時間です。心身をしっかり休ませることで、あなた自身が本来持っている回復力を最大限に引き出すことにつながります。
理由②:確実な投薬と治療のため
突発性難聴の初期治療では、炎症を抑えたり、血流を改善したりするためのお薬(ステロイドなど)が使われることが一般的です。入院をすれば、点滴などで24時間体制で確実な投薬治療を受けることができます。
理由③:糖尿病などの持病がある場合の安全管理のため
もしあなたが糖尿病を合併している場合、ステロイド治療によって血糖値が大きく変動する可能性があります。安全に治療を進めるためには、入院して専門の先生のもとで血糖値を厳密に管理してもらうことが非常に重要です。
入院したくてもできない…そんな時の過ごし方

「本当は入院した方が良いと思うけど、病院のベッドが空いていない」
「先生から『入院してもしなくても、どちらでもいいですよ』と言われて迷っている」
このようなケースも少なくありません。
医学的な基準では、聴力がかなり悪い状態(Grade 3〜4)で入院を強く勧められますが、もしあなたの聴力がそれより軽いGrade 2であったとしても、耳鳴りや音が響く症状がひどくて眠れない、仕事に集中できないなど、日常生活に大きな支障が出ている場合は、ご家族ともよく相談し、入院を前向きに検討することをお勧めします。
もし、病院の事情でどうしても入院できない場合は、思い切って近くのホテルに数日間宿泊するという選択肢も考えてみてください。
目的は、入院と同じく「日常から離れて、心と体を休ませること」です。自宅ではできない「何もしない時間」を意識的に作ることが、回復への大切な一歩となります。
耳鼻科の治療で改善しにくい方の3つの身体的特徴
耳鼻科での丁寧な治療を受けても、なかなか聴力が回復しない方がいらっしゃいます。私たちは、そうした方々にはいくつかの共通した身体的な特徴があることを見出しました。
それは、突発性難聴が「耳だけの問題」ではなく、「体全体からのSOSサイン」である可能性を示しています。
特徴①:首や背骨のゆがみ
ご自身では気づきにくいのですが、首の骨や背骨が少し曲がっていたり(側弯)、ゆがんでいたりする方が非常に多いです。このゆがみが、耳や脳へ新鮮な血液を送るための大切な血管(椎骨動脈)を圧迫し、血流を悪くしている可能性があります。
特徴②:体の冷え(血流の悪さ)
常に緊張状態(交感神経が優位)が続いていると、血管がキュッと縮こまり、全身の血流が悪くなります。特に手足の先が冷たいと感じる方は、耳の中の細い血管も同じように血流不足に陥っているかもしれません。
特徴③:ふくらはぎの冷えと「梗塞(こうそく)体質」
「第二の心臓」とも呼ばれるふくらは-ぎは、全身に血液を送り戻すポンプの役割をしています。この部分が冷えているということは、血流が滞りやすい「梗塞体質」のサインかもしれません。特に、ご両親や祖父母など近いご親族に脳梗塞や心筋梗塞を経験された方がいる場合は、注意が必要です。突発性難聴は、将来の重大な病気を知らせる警告である可能性も考えられます。
標準治療で良くならず、お一人で悩んでいるあなたへ
耳鼻科での標準治療は、突発性難聴の回復に欠かせない素晴らしいものです。しかし、それでも改善が見られず、「もう良くならないかもしれない…」と希望を失いかけている方もいらっしゃるかもしれません。
もし、先ほど挙げた「3つの身体的特徴」に心当たりがあるのなら、あなたの難聴の原因は、耳だけでなく、体全体にあるのかもしれません。
◆当院の考え方
私たちは、突発性難聴を「耳だけの病気」とは考えません。長年のストレスや生活習慣によって生じた「全身の血流の問題」や「骨格のゆがみ」が根本的な原因であると考えています。
◆精密な全身検査で、回復を妨げている根本原因を探ります
当院では、耳の状態を詳しく調べるだけでなく、回復を妨げている根本原因を突き止めるために、体全体を客観的に評価する検査を行っています。
- 聴力検査・耳管機能検査・鼓膜の動きの検査:耳の基本的な状態を精密に調べます。
- 医療用サーモグラフィ:全身の体表温度を測定し、血流が悪くなっている「冷え」の部分を可視化します。
- 循環器用エコー:血管の状態や血流を詳しく調べます。
- モアレトポグラフィ:体の表面の凹凸を等高線で表示し、ご自身では気づけない首や背骨のゆがみを明らかにします。

◆根本原因にアプローチする専門治療と実績
これらの精密な検査結果に基づき、あなたの体の状態に合わせたオーダーメイドの専門治療をご提案します。私たちは、長野県須坂市の地で40年にわたり、突発性難聴の専門治療に取り組んできました。
これまでに診させていただいた14万人の突発性難聴の患者さんは、すべて耳鼻科の標準治療で改善が見られなかった方々です。そうした方々のうち、87.9%の方に聴力の改善や耳鳴りの軽減など、何らかの良い変化が見られています。
実際に改善された方の声
耳鳴りが和らいできた
もし、あなたが治療に対して前向きで、本気でご自身の体と向き合いたいとお考えなら、私たちは全力でサポートします。
「もう打つ手がない」と諦めてしまう前に、一度あなたの聴こえにくさの原因を、私たちと一緒に探してみませんか?
当院の「突発性難聴」に対する専門的なアプローチは、下記の専門ページで詳しく解説しています。
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